吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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あっ、てめぇ・・・っ、くそ!
(どうやら睨みつけている相手は理性が保たれているようでこちらに向かってくる気配はないが、警戒は崩さず上か、真正面からか、攻撃を仕掛けてくるであろう方向にも気を配る。だが聞こえてきたのは重い物が落ちる、ドサッという音。その物音が吸血鬼が女性を抱き支えていた手を離し地面に女性が倒れ伏した音だと認識すると一瞬そちらに気を取られてしまい、視線がそちらに向かったのをいい事に吸血鬼は身を翻し闇の中へ消えてしまった。追いかけようにも細い路地裏と行く手を遮るように倒れ伏した遺体に遅れをとって気配を見失ってしまった。消えたその姿と気配に苛立ちの言葉をぶつけると、恐怖に染まった表情のまま事切れている被害者のそばにしゃがみ、目をそっと閉じてやる。任務をしていく中で助けられる命もあるにはあるが、こうして間に合わず命を奪われてしまうことが多いこの仕事にやり切れない思いも感じていた。
それからも暗い夜道を走り回り吸血鬼を討伐していれば日が跨いで少し時間が経ち、他のハンターと交代の時間がやってきた。特務機関に所属している医師に怪我の治療をしてもらい、コートを交換し、他の数名のハンターと共に車に乗って中央エリアへと帰還する。車内は無言で誰も疲労が滲んでおり、怪我もそう少なくはなかった。中央エリアにつき、適度な場所で降りるとゆっくりとした足取りでBarへと向かう道すがら、彼は今夜もBarに居るのだろうかと期待して)
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