吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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(時折別の配膳や接客の合間に相手のいるテーブルに視線を向けていたものの、楽しそうにしている様子に僅かながら胸の内に黒い靄が溜まっていくのを感じていて。内容までは聞き取れないが、とても楽しそうに話をしながら柔らかく微笑むあの顔は自分だけが見られるものの筈だった。それなのに今は、あの同僚にその表情が向けられている。そのモヤモヤした気持ちが顔に出ていたのか、ぼんやりしていた事を心配してか、一緒に働く女性から声を掛けられると直ぐにいつも通り微笑むと大丈夫だと首を振って。ちょうど洗い終えた皿を厨房から渡され、二人で話しながら食器類を棚に戻し始めて。)
──すみません、少しぼんやりしていました。…この棚の位置少し高いですよね、上の方は僕が戻しますよ。ハンナさんはグラスをお願いします。
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