吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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あぁ、またな。おやすみ。
(想像通り素直に別れられたことに少し驚きつつ、それだけ疲れているのだろうと別れの挨拶をして後ろ姿に軽く手を振る。相手に背を向けて歩き出すと、せっかくの時間を遮られたことに深く苛立ちげにため息を零しポケットから愛銃を取りだし利き手に持つと反対の手で弾丸を確認し安全装置を外しておく。最初は血の匂いをたどって行ったが次第に吸血鬼の気配を感じ取るとより暗い裏路地へと入っていく。しばらく歩くと品のない液体を啜る音が聞こえてきて、腕がだらりと下がった人影とそれを抱きしめるような体勢で首筋に顔を埋める人影を確認する。)
こんばんは、今夜は月が綺麗だな。
(にこ、と憎悪を隠した作った笑みでそう声をかけると吸血鬼は口の端から血を零しながら自分を見た。あぁ、本当にイライラする。過酷な任務後に追加で吸血鬼を討伐しなければならないこと、相手との楽しい時間を邪魔されたこと、そして吸血されていた被害者の女性の髪が赤毛であったこと、その全てに苛立ち、被害者である吸血鬼に憎悪を向けると銃口を合わせ発砲する。パァンッと乾いた発砲音がその場に響いた。
翌日、拠点に赴くと任務外で討伐した吸血鬼のことを報告する。報告が終わり簡単な事務連絡を聞くと今夜は満月なので普段よりも気をつけるようにと注意を受けるも頭の中では昨日の被害者が婚約者と同じ赤毛であったことを思い出して激情に駆られてしまっていたことを少し反省していた。職員からの注意に適当に相槌をうって流せば家に帰り、日中は体力の温存のために睡眠を取ったり銃の手入れをしていると昨日、無事相手も帰れただろうかと考えることもあって。夕方、東側エリアに行くため身支度を整え街へ出る。街の灯りが灯る頃該当のエリアにつけば物陰で吸血鬼たちが活動し始めるのが見えて走り出し、任務を開始して)
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