吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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──…テオ、?…今日は来ないかと思ったよ、…
(微睡の中で相手の話す低い声が聞こえた気がした。同時に同族のものではない人間の血の匂い、匂いにも敏感になっているのかもしれない。瞼を持ち上げると隣に座る相手の姿を緩んだ視線で捉え、相手に声をかけると少し微笑んで。前のめりに崩れていた身体を起こしつつも眠気はまだ抜けず、何処かふわふわとした熱の中に居るような感覚。酒には強い筈なのに、今日はペースを上げ過ぎてしまっただろうか。氷が溶けて薄まってしまっていたカクテルをひと口に飲み干すと、そのまま水を口にして。昨日はかなり疲れている様子だったが、続け様の任務は大丈夫だっただろうか。相手に視線を向けると頬に貼られた絆創膏に気付き、この血の匂いは相手のものかと思えば徐に相手の頬に手を伸ばし、指の腹で軽く絆創膏を撫ぜる。良い香りだ、と思った、彼の血を口にしてみたい、とも。アルコールによって本能に忠実になっているようだと、そんな邪な考えを押しやりつつ手を離すと、相手に労りの言葉を掛けて。)
続け様の任務で疲れただろう、…酷い怪我じゃなくて良かった。
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