吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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・・・俺の手が、優しい・・・?そんな訳ないだろ。
(自分の突拍子のない行動に羞恥心が芽生えジワジワと顔に熱が集まってきたような感覚に陥る。つい無意識に出てしまった手に、はぁ・・・とため息をこぼすと手を離してパタパタと顔を仰ぐ。その途中で自分の手が優しいと評価されるも、自分の手は吸血鬼の命を奪った手であり、時には一般人を殴る手でもあると考えて何を言っている?と思ってしまう。まぁ一般人を殴る時にはこちらに手を出されたときや、女子どもを理不尽な目に合わせていた時などではあるが優しいとは言えないだろうと、その評価を断った。)
優しい手は、とっくに捨てたよ。
(あらかた顔の熱が冷めればカウンターに置かれていたグラスを持ち口付ける直前にそう言い残す。口のなかに広がる甘いカカオの味とブランデーの芳ばしい香りを味わえばあまいな、と小さく呟く。カクテルグラスの中では僅かにとろみを帯びた茶系の液体が漂っており、グラスの縁は照明の光を受け僅かに傾けると光を反射する。ふと、このカクテルは婚約者が好んでいたものであることを思い出し、その時の自分の醜態まで思い出してしまうと今の自分と比べ、変わったなと思い返し)
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