吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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──ありがとう、テオ。
(不意に髪を撫でられ驚いたように相手を見つめる。人の体温をこうして感じた事などいつ振りだろうか、と思うのと同時に、自分を励ますように語られた言葉と優しい微笑みに何とも言えない感情が湧き起こり。それが“罪悪感”にも似たものだと気付き、相手を見つめたまま数回目を瞬かせて。自分が語った言葉も、自分の存在すら全て作り話、それどころか正体は彼が憎む吸血鬼だというのに、自分の語った言葉を受け入れて勇気づけてくれる優しさに、これまで凍っていた心が僅かに動かされたような感覚を感じていて。少しして微笑んで頷くと、相手に礼の言葉を告げる。彼がかつて、こうして髪を撫でて優しい微笑みを向けていた相手は、婚約者か、それとも家族、兄弟か。そんな事を思いながら、ハンターである相手との関わりは危険であるのと同時に心地よいものだと感じている自分がいて。)
気にしないで、むしろ元気が出た。…君の手は優しい手だね、
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