吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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(家に戻り眠りに落ちた後、目を覚ましたのは正午を過ぎた頃。閉じたままの遮光カーテンの向こうは明るい日差しが降り注ぎ、賑やかな人々の声が和やかに響く。起き出して暫し時間を潰した後、日暮れと共に漸く着替え、ハンターのコートに袖を通した。Barに向かうのは空が徐々に暗くなり、冷えてきた空気を感じるこの時間。路地裏に入り一層空気が冷え込む感覚を感じつつBarの扉を開けると、マスターと軽く言葉を交わしつついつもと同じカウンター席に腰を下ろして。1週間近くも人間の生き血にありつけていないため、いよいよ飢えを感じ始めた頃。カクテルを注文するのと同時に煙草に火を付け、煙で飢えを紛らわせようとして煙草の消費量が増えている事にはたと自分で気が付くと、今夜か明日のうちには狩りをしなければと考えつつ煙を吐き出して。
程なくしてドアベルの音がして、目を向けるよりも前に色濃く感じた血の香り。特に同族の血の匂いは判断がつき易いため、この香りを纏って来たという事はハンターの筈だと其方に視線を向けると、昨日の相手の姿があり。同族を狩っているからと言って憎しみを感じる程周囲の事柄に興味は無く、純粋に彼を知りたいという興味の方が優っていて。相手と視線が絡むと笑みを浮かべて、煙の揺らめく煙草を指に挟んだまま反対の手で隣の席を軽く叩いて。)
──テオ、待ってたよ。
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