吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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(流れるように闇へと姿を紛れこませた相手の背中へ挨拶を返すと、少し時間を空けてから自分も立ち去ろうと立ち上がりBarの扉をくぐって後にする。建物の隙間から差し込む陽の光が目に眩しいが、今夜も生きていると感じるこの時間が憂鬱でもあり、また喜ばしかった。コツ、コツ、と足音をたてながら薄暗い裏道から人気が増えた大通りへと出ると朝の活気ある賑わいが目を覚ましつつある。道すがら相手の名前を口の中で声に出さず言ってみれば不意にとくん、と胸が鳴く)
・・・・・・?
(そこでピタリと足を止めコートの上から胸に手を当てるが、自分の心臓は規則正しく鼓動を続けていて今のは、と不思議に思ってしまう。大方勘違いだろうと結論づければコートの下で小さく金属音を奏でる指輪に笑みを浮かべ、愛の言葉を囁けば手を下ろして拠点への道を歩き出した。
日中は味気ない毎日同じような活動を繰り返し、夜は憎い吸血鬼を狩る。次の日の夜も婚約者の仇を探しながら吸血鬼を狩り仕事を終えれば、疲労感を伴いながら足はあのBarへ向かっており、扉を見つければカランッと音を鳴らして店内へ身を滑らせて)
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