吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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──テオ、…
(怪我をした脇腹を抑えたまま呼吸を整える事に意識を集中させ、目を伏せたまま路地裏に座り込んでどれくらい経っただろうか。意識ははっきりしていたものの時間が経つに連れて痛みが強くなり動けずにいて、相手はもうBarで待っているかもしれないとぼんやり考えて。不意にその相手の声が降ってきて、目を開く。目の前には膝を突いた相手の姿、頭に浮かべていた彼の姿が目の前にあるため、一瞬出血のせいで幻覚でも見ているのだろうかと思ったものの、肩を叩かれそれが現実の事だと理解すれば、相手の名前を呼んで。この状況で見つけてくれたのが彼とは、何と幸運なのだろうか。脇腹を抑える手にはぬるりとした気持ちの悪い感覚、情けのない姿に困ったような微笑を浮かべて。)
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