吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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(ベッドの上で眠っていればふと、意識が浮上する感覚がした。なんだか長い時間眠っていたような気になると瞼が張り付いたように開けるのが難しかった。体も酷く重く、なぜこんな状態になっているのか思い出そうとすると頭の中に誘拐された時のことや倉庫の中で血を吸われた時のことが思い出されてこの状態になっているのが理解出来た。自分は死んでしまったのかと思ったがシーツを触る感触と鼻につく消毒液の匂いで病院にいることが分かり、生きているのだと確信がもてた。意識を失う前に相手は追いかける、と言ってくれたが側にいてくれているのだろうか。そう思って耳を澄ませてみれば近くから相手の声が聞こえてきて安心する一方で、その悲しげな声色に慰めなければと考え重い瞼をあげようとして。少しずつ開ければ見えてくるのは白い天井で、瞳を動かし横を見れば今にも涙を流しそうな相手に微笑むと声をかけて)
・・・約束、守ってくれたな。
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