吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
通報 |
───…
(その場を離れる事も叶わないまま不意に血の香りが濃く漂い始め相手の首筋から血が溢れているのが見え、それを認識してしまうと一瞬にして彼女の存在など頭から消えてしまい青かった瞳は月光の下で炎が燃え広がるように紅く染まっていて。酷い渇きは耐えようの無い程、このまま血を口にしなければ喉が焼き切れてしまうのでは無いかというほどに酷いものに変わり震えるように浅く息を吐くと、床に横たわる相手は襲ってはいけない存在だという常に保ってきた意識は徐々に飲み込まれ、相手に近づくように足を踏み出して。喉が渇いて苦しい、背中に冷や汗が浮かぶような感覚を感じながら相手の隣にしゃがみ込むと傷口から溢れる血に舌を這わせ、何処までも甘美な味わいに恍惚と溜息を吐いて。この血を全て飲み干してしまえば耐え難い渇きも癒える、相手を見下ろす紅い瞳には相手との約束も幸せな日々も映ってはおらず、慈しむように相手の頬を撫でた後に傷付いた首元に唇を寄せて。)
トピック検索 |