吸血鬼 2021-03-16 10:45:12 |
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(足を止めた相手に不思議そうにして自分も止まる。婚約者の目の色が珍しい色だから驚いたのだろうか・・・それとも何か知っているのだろうか。相手は記憶にない、と答えてきたが、自分の目に写った相手の視線が僅かに揺れ、声も何かを隠しているような気がした。嘘をついた時に現れるサインが一瞬見えた。この街で婚約者の目を持つ人間なんぞ婚約者以外には会ったことがない。だから婚約者の目を見た事がある人物なんて家族か友人、周囲の人間、自分、そして婚約者を殺した吸血鬼だけだ。婚約者のことを殺した吸血鬼の情報はまだ1つも掴めていない。容姿も名前も、仇を形作るものは何も無く霧のように実態のない者を長年探していた気がしていた。相手は琥珀色の目をもつ人に会ったことがないのか、それとも生前の婚約者に会ったことがないだけだったのか。だからそんなことを言ったのかと思った。だから嘘を吐く吸血鬼や人間に出るようなサインに"本当に?"と問い詰めたかったが、言ってしまえば互いの間の関係が無くなるような気がして言葉にはできず、代わりに諦めたような声色で仕方ない、と答える)
そうか。まあ珍しい目の色だし滅多に会うことなんてないからな・・・。会ったことがないのも仕方ない。
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