猗窩座 2021-03-06 09:21:59 ID:35ffca745 |
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――…杏寿郎。
(夜も深まれば遠くでしていた人の声も軈て消え、車の走る音もぐっと減り、風の無い澄んだ空気は静寂に包まれた。徐々に冷える外気にフレグランスの其れでは無い柔らかな香りが彼の匂いと混ざりふんわりと鼻腔を擽ぐる。所謂お日様の様な匂い、という形容詞がこうもしっくり来るとはつくづく‘陽’の属性の男なのだな とその熱に身体を預けながらぼんやり思考を巡らせ。視線はもう空ではなく宙を見詰め、隣の人肌を味わうのみ。凪いだ声音で彼の呼び掛けへの返事よりも先に名前を呼んで、)
付き合わされたんじゃない、俺が好きで付き合った。…杏寿郎、また悪夢を見るようなら直ぐ話せ。人に話すことで正夢を免れると聞くし、それに――
(頬や目元を すり、と彼の肩口に擦り寄せながら顔を上げれば、此方を覗き込む彼の視線と自分の其れを絡め、待ちに待った休日に向け余計な荷を下ろしすっきりとした顔立ちの彼に安堵。眉下がりの無邪気な笑みを綻ばせては抱いていた彼の肩ぐい、と押し付けて支えにし立ち上がり、)
…何でもない。俺も心地良かった、片付けは明日に回すが…お前この後布団で眠れるのか?
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