猗窩座 2021-03-06 09:21:59 ID:35ffca745 |
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星?良いが…あ、おい杏寿郎。何も羽織らなくて良いのか、お前は丈夫な癖に一度風邪を引くとよく拗らせて……、全く…。
(地元に居た頃は当たり前に見上げればあった星も、新しい土地に移り住んでからは念頭からすっぽりと抜け落ちて風景を構う余裕も無かった。せかせかと目まぐるしく熟して行くだけになっていた日々に‘星空を眺めよう’などと提案をする様な心持ち朗らかな人物は知り合いには居ないしきっとこれからも現れない気がする。つくづく良い友人を持ったものだと染み染みと感じ入りながら、湯気を上げる薩摩芋の煮付けが入った小鉢を片手に、もう片方の腕に薄手のカーディガンを引っ掛けて己を待つ彼が居るベランダへ)
――……何だ改まって。
(ほかほかと湯気の立つ薩摩芋には爪楊枝が二本刺してある。自分の方とした其れを摘んで口に放り込んではその熱さに顔を顰めながら、ベランダとは言え外故か随分と落ち着いてしんみりとした彼の声音が鼓膜を揺らすのに ふは、と柔らかく吐息の様な笑みを零し口内の熱を流し込むべく、再び酒をぐい と煽り猪口を空にして、)
…杏寿郎、俺はお前の様な友人を持って誇らしい。気難しいお前の親父がこうして衣食住を共にすることを不本意ながら許した事も、千寿郎が何かと気に掛けてくれるのも嬉しい。お前と過ごした日々がなければこうも丸くならなかったかもしれん。
(普段よりも幾分か柔い素直な様子で、首を軽く反らし視線は瞬く星を見詰めながら、腕に引っ掛けたままのカーディガンを雑に彼の背へと羽織らせて)
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