猗窩座 2021-03-06 09:21:59 ID:35ffca745 |
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……ふ、お前は良く褒めてくれる。昔からそうだな、温かく心地良い筈なんだが、未だに慣れん。ザワザワとする。…鼻高々、そうなる様に日々精進して行こう。お前のお陰でまた上を目指せそうだ。――ほう、長野。長野は空気と水が美味いと聞くな、成る程辛口か。辛口は好きだ。
(彼の言葉は炎の如く、鼓膜を揺らし脳へと届いた頃には燃え広がる様に胸に沁みて、離れていようと身体の内側からジワジワと熱を灯す様に満たしてくれる。‘言霊’なんて言葉があるが、この男の言葉には昔から其れを裏付ける様な力強さがあって、其れを 匙を投げずに今この場まで血の繋がりもない己に親身に向けてくれる事で、捻くれた魂が何時も救われていて。際限無い優しさを一から百まで素直に飲み込み切れず、小さく見開いた双眸を細め 眉を柔く八の字にして見せれば身を包む黒のスウェットの上から心臓部分をくしゃり、握って見せて。艶が差して微かに潤む琥珀色の瞳を日本酒へ落とし、薄紅色の睫毛を伏せてはこうした些細なやり取りが上司からの重圧何ぞも物ともせず仕事に打ち込める活力になっているのだと暗に告げ。ゆったりと数回瞬きを繰り返せば気を取り直し栓を抜き、紡がれた説明に酒を嗜む者として擽られる好奇心は隠さず丁重に瓶を持ち上げてそっと彼の猪口へ注いで。己の其れへも注げば乾杯もせぬ内から持ち上げた猪口へ鼻先寄せて芳醇な香りに「おお、」と小さく感嘆の音を零し)
……此れは良い酒だぞ、杏寿郎。寝かせておいた甲斐があったな、存分に味わうと良い。
(再び乾杯を促す様に猪口を差し出して、酒の持ち主である彼が口にするのを待ちながらゆったりとテーブルの下で脚を組み、気の緩みを許した空気感に浸り)
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