匿名さん 2021-02-24 23:00:36 |
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しまっ、――ッ!
(動揺から生じた僅かな間隙。地を蹴る音を耳で拾ったその瞬間、動揺から立ち返るとすぐ眼前には闘気を孕んだ鋭い太刀筋が迫っていた。――だめだ、斬られる。全身の細胞が避けろと警告を出す。しかし殺気が迸る相手の瞳を見た瞬間、金縛りにあったように僅かも動くことが出来なかった。それは差し迫る恐怖心から来るものだった。これまで戦闘に身を費やし、幾ばくの時を経て磨き上げたと思っていた技術も能力も、相手の殺気の前では蛇に睨まれた蛙も同然。大きく見開いた瞳には恐怖がありありと映り、ぴくりとも動けぬまま襲い来る強烈な痛みを覚悟したその時、ふと地底を揺るがすような地鳴りが響き。寸止めされたのであれば尻持ちをつき、その拍子に後ろのポケットにあった木札が割れ、同時に楓も離すことだろう)
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