傍観者 2021-02-22 23:29:30 |
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確かにそう言われても仕方がないね。普通は警戒するはずだろうから。ただ、あの日は誰かと話したりしないと落ち着かなかったんだ。温もりが欲しかったと言ったらおかしいかもしれないが。
(普通であれば知らない人間を家にあげる事や、見窄らしい格好をしている人間に声をかける事もなかっただろう。だがあの日は、いつもとは違い誰かと話をしたりすることで心にぽっかりと空いてしまった穴を塞ぐことができる方法を探していた、彼を拾ったのも自分のためにやった事で。隣を歩く彼からの問いかけは予想外のものだったのか、可能性を考えては言葉を詰まらせて。数ヶ月ではあるが共に過ごした彼が妻を殺した鬼と同じ種族という事を考えれば、出てくる言葉は「憎い」この言葉ばかりで。彼が鬼という事は極力考えたくないのか、首を軽くだが横に振り)
君が鬼と分かれば助ける事はなかった。ただ彼等も人間を食わないといけない事情があるのだろう...、人間だって他の生き物の命を頂いている訳だからね。彼等を理解したいという気持ちは少しあるが、どうしても憎いという感情しか湧かなくてね...。
(家が見えれば、家の近くの路地で一度立ち止まり「君が鬼ではない事を祈るよ、恨んだりはしたくないから」言葉を口にしながら首をかしげ彼の顔色を伺い。彼は自分の事を多く話したがらない。だからこそ不安に思う事は多いものの、数ヶ月間何も無かった為彼は鬼ではなく自身と同じ人間だと信じたく。
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