霜浦 透 2021-02-11 14:33:12 |
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困ってねぇよ。むしろ可愛いもんが見れて得した(額に口付けてそう返せば、くしゃりと髪を撫でてそっと身を離し。徐に立ち上がると「何飲む?」と問いつつキッチンに足を運び)
─じゃあコーヒーで(男子高校生として可愛いという言葉は複雑ではあるが、彼の口から聞くそれは不思議と心地が良く。キッチンに向かう彼に機嫌よく答えればソファに横になって後ろ姿を眺め)
高校生はコーラしか飲まねぇと思ってたわ(ケトルでお湯を沸かし、インスタントのコーヒーを2つのマグカップに入れながら、あまりにも偏りのある偏見を呟いて)
なにその思い込み。廉介さんが思ってるより大人ですけど(相手の言葉にくすくすと笑いながら、マグカップをひとつ受け取るためにゆっくりとソファから起き上がれば相手のいるキッチンへと向かい、作業をする相手の手元を覗き込み)
違ぇの?お前のクラスの奴、いつもコーラ奢れってうるせぇけど(沸いた熱湯をマグカップに注ぎ、ティースプーンでかき混ぜながら言葉を続け。隣へやってきた相手を横目で一瞥すると、何気無い仕草で髪を撫で)
え?ずるい、俺も奢られたいのに。許せん(撫でられながらも相手の手元を見つめる事は止めず、あるクラスメイトの顔を想像すれば冗談半分に不満を口にすればくつくつと笑って)…で、奢ってあげたんです?
何でも奢ってやるよ。食いてぇもんあんなら(目元を緩めて伝えると、マグカップの一つを相手に差し出し。もう一方のカップを手に再びリビングへ向かいながら「一回だけな。荷物運びのために買収した」と答え)
本当?じゃあ俺は何を奢ってもらおうかなぁ…(相手からマグカップを受け取ると机に置き、近くに座って。学校では不自然に思われないよう一線を引いている自分が避けてきた事をできるクラスメイトをどこか羨ましく思い)あ、でも学校で奢ってもらうってのも少し羨ましいかも。
肉でも寿司でも何でも良いぞ。…あぁでも、高校生と教師が寿司屋はアウトか(ゆるりと足を組みながら答えるが、はたと気が付けばぼそりと呟き。相手の思う羨ましさを何となく察して目元を緩ませると「なら今度は透を買収するか。購買のパンで」と返し)
肉…寿司…!…ハンバーガーとかピザとかお持ち帰りできるものは?(食べ盛りの男子らしく挙げられたものに食いつくも、アウトの三文字に見事撃沈し、はたと思いつくと提案してみて。相手の言葉にふ、と微笑めば「たくさん働くからよろしくお願いします」と仰々しく頭を下げ)
あー、暫く食ってねぇな。持って帰ってきて食うか、今度(懐かしげに目元を細めると、コーヒーを一口飲みながら提案し。随分と恭しい態度に小さく笑い「こちらこそ」と相手に倣い一礼して)
いいじゃん、楽しみにしてる。それで、卒業したら色んなとこ連れて行ってよ(砂糖とミルクを入れて中身をかき混ぜながら頷くと、楽しげに「お寿司に温泉に、旅行とか…」と自分の希望を指折り挙げてみて)
…卒業した後の事も考えてんのな(自分自身も相手との未来を想像していながら、相手がそういった事を口にしたのには些か意外そうに眉を上げ。マグカップを口元へ運びつつぽつ、と零し)
俺だって考えたりしてますって(どうやら自分の口からその考えが出る事を想定していなかったらしく、相手の反応を見れば口角を上げて。相手の片手に指を重ねると「離すつもりなくてごめんね」と微笑み)
謝るのは俺の方だろ。失うものがでけぇのは透なんだから(触れ合う指先をするりと絡め、そこへ視線を落としては手の中で弄ぶように擦り合わせながら呟くように返答し)
…俺は貰ってばっかだよ、廉介さんに(選んでもらったという気持ちが強いだけに相手の言葉に目を伏せるとすり、と指で撫でながら思いを吐露し)
(意志を曲げない相手に思わずふ、と笑い掛けると唇が触れ、相手の頬に片手をやれば瞳を閉じて)…廉介さんは優しい人だよね、そういう所も好きなんだ
んむ、俺は変な事言ってないよ(鼻をつままれ反射的に瞳を閉じて間抜けな声を出すと、相手の笑い声につられてくくく、と小さな笑いを零し)
ずっと変だろ。俺みてぇなおっさん好きになっちまって(相手の鼻から手を離し、その手で頭を撫でやりながら呆れたような口振りで告げ)
好きになったものは仕方ないってよく言わない?多分、お爺ちゃんの廉介さんでも好きになってたと思うけど(ふふん、と得意げに相手を見遣り撫で続けられる手を両手で包み込むようにして挟めば)
…何を根拠にそんなこと言ってんだか。馬鹿だなほんと(愛おしい言葉に満たされる思いで目元を緩めるも、一方で口は可愛げのない軽口を叩き。しかし想いが滲むような視線を相手に送ると、額に口付けて)
なら俺の言葉を受け入れてくれた廉介さんも馬鹿になるのかな?じゃないと不公平だよね、俺馬鹿じゃないし(相手の言葉から滲み出るのは嘲笑では無いことは理解しており、その視線に気付けばへらりと微笑み口付け受けて)
当たり前だろ。俺なんか下手に年齢重ねてるせいでお前の何倍も大馬鹿者だ(朗らかな笑みが愛おしく感じられ、小さく笑うと相手の腰を抱き寄せ体を包み込むように抱き締めながら自嘲と開き直り半分に言葉を返し)
ん、ふふ…廉介さんの方が馬鹿ってなんかおかしいよね(抱き寄せられれば驚いたように目を見開き、その言葉に可笑しそうに笑うとその首に手を回して抱き締め返し)
おかしすぎて呆れるな。まさか自分が生徒に手ぇ出すとは思わなかったし(肩を竦める仕草をしながら頷いて告げるが、その間にも顔を寄せ唇を重ねて)
…俺は嬉しかったけどなぁ、まさか受け入れてもらえる、とか。思ってなかったし(唇を離せば両手をするりと頬へ滑らせ愛しげに撫でながら額を合わせて)
流石にあんな可愛く言い寄られたらなぁ(額が触れ合う僅かな感触が心地よく、相手の手に自らの手を重ねながらからかい混じりの口調で返し)
なっ……そんな可愛くはなかったでしょ。必死で、俺らしくないの、格好悪かった(告白当時の事に触れられれば珍しく動揺し視線をさ迷わせながらも相手から離れることは無く、ぽつりぽつりと言い訳じみた言葉を返し)
透があんなんだったから、好きになったんだ(ついクスクスと小さく笑いながら相手の様子を愛おしげに眺め、徐にその前髪を梳かすように撫でれば囁くような声で述べ)
あんなんが良かったなんて変わってるね、廉介さん(笑い声に思わず可愛くない返答をすれば前髪を大人しく撫でられ、唇に軽く触れるような口付けをして)
俺があんな必死になって好きだって言ったら、透だってそうなるだろ。まぁ元々俺も透の事特別扱いしちまってたのもあるけど(可愛げの無い言葉が益々愛おしく、目元を緩ませながら返答し。重なる唇に目を閉じると、相手の髪を撫でて)
それは…そうだけど。…俺の勘違いかなーって思ってたんだけど、そうだったの?(渋々といった様子で同意すれば“特別扱い”という言葉に表情を輝かせ)
当たり前だろ。俺は用もねぇ生徒を準備室なんか入れてやんねぇし、あんな長々居座らせねぇし、そのせいで遅くなって送ってやるなんてしねぇわ(傍に置いておきたいあまり相手の好きにさせていたが、冷静になって考えればリスキーな上にどう考えても不自然な行動をしていたと思い返しながら眉を寄せ)
よくよく考えてみれば…廉介さんって俺の事大好きだったんだね。知ってましたけど、廉介さんの口から聞くともっと実感できて嬉しいなーとか思ってたりして(普段余裕を見せている彼の表情がほんの少し歪むのを見ると楽しげにその様子を見つめ、くすくすと小さく笑って)
俺が廉介さんのこと大好きなのバレてる…(愛しい戯れに緩く微笑むと、ちらりと壁時計に目をやるとぐて、と相手にもたれかかって)…んん、もう帰る時間になっちゃった。
…ほんとだな。あっという間だったわ(言葉に促されるように時計を見ると、名残惜しさを感じながら微笑んで相手の髪を撫で)送ってくか?
ほんとほんと、時間が経つの早くて嫌になっちゃうね。…んん、よかったら駅まで(ぐりぐりと相手に頭を擦り付けながら、掛けられた言葉に頷くと素直に甘えて)
家まで送ってく(相手の仕草があまりにも愛おしく、抱き寄せるように背中に両手を回すと、擦り付けられる髪に頬を寄せ。宥めるような手付きで相手の背中を軽く叩くと、車の鍵を手に取り)
え、いいの(優しい手つきで背を叩かれたかと思えば想像していなかった言葉に顔を上げ。相手から離れれば自分の上着を手に取り、鞄を持ち上げれば準備が出来たとアピールするように見つめ)
たまにはな(頷きながら自らも上着を羽織ると、相手の準備ができているのを確認し、車の鍵を人差し指に引っ掛けながら相手を伴って外へ出て。車に乗り込みシートベルトを締めると、エンジンをかけ)
(部屋を出た相手の後に続き外へ出ると襲い来る冷気に身震いしつつ、慌てて助手席に乗り込めば同じようにシートベルトを掛け一息ついて)準備できました、廉介さん
さみぃな。エンジンかけとけば良かった(車内の寒さに身震いしながらヒーターのスイッチを入れ、相手の声に「おー、行くか」と一言返して車を発進させ。空いた道を滑らかに進みながら「学校で間違って俺の名前呼ぶなよ」と揶揄い混じりに告げ)
仕方ないよ、ずっと家の中にいたんだから(徐々に暖かくなる空間でほ、と息を吐くと自分の上着に顔を埋め。相手の言葉に「大丈夫だって、卒業まで我慢するの」とけらけら笑い)
再来年が楽しみだな(横から聞こえる声に耳を傾け、目元を緩ませて答え。暫くして相手の自宅前で車を停めると「忘れ物すんなよ」と声をかけ)
すぐだからね、楽しみに待ってて(自宅近辺の景色になれば終わりを迎えることを察して目を細め、相手の言葉に頷くと車を降りて。ドアを閉める直前、思い出したかのように車内に身を乗り出す形で相手の頬に一瞬のキスをすると、すぐに外にもどり扉を閉めて)また学校でね、廉介さん!
おー、サボんなよ(一瞬頬に触れた唇につい小さく笑うと、軽い仕草で手を振りながら応じ。自宅へ入る相手の背を見送りながら「物足りねぇわー…」と別れ際のキスの事を思い独り呟き、再び車を発進させ)
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