むしょうの関係

…お。ほんとだ。おー、女にモテそうな腹！( 自然と相手の腹部へと視線を向けて手を伸ばし、指先で数回押せば感心したように呟き )あ゛？何勝手な想像してんだよ。ジムのインストラクターやってる。つっても、今のご時世的に暇なんだけどな( 不機嫌そうな声を漏らすも、よく言われるのか呆れたような口振りで答えつつ、ソファの背もたれに身体を預け )そっちを想像すんのか。おっさん、おもしれぇな？( くつくつと喉を鳴らして笑えば、身を乗り出し軽く頬へと口付けをし )

え。女の子って君みたいな体の人が好きなんじゃないの( まさかの好印象を貰ったことに間抜けな声が漏れ、好き勝手に感触を確かめられる腹をそっちのけに問いかけ )あー、インストラクターね…( 明らかな安堵を示すも、納得したように再度相手の体を見遣り)言われてみれば、その筋の人っつうには綺麗すぎる体…ッてちょいちょい何してんの君( 不意に頬へと触れた感触に間を空けて反応すると片手で相手の頬を挟むように柔く掴み )ビックリして危うく心臓止まっちゃうところよ。

俺のダチとかは、おっさんみたいな方が好きだって聞くぜ？何だったら筋肉ついてるのは嫌がられたこともある( 感触を気に入ったのか、ふにふにと触りながらさらりと答え )あ゛ー、よく言われっけどさァ…そんな柄悪ぃ？( 不満そうな声を漏らしながらどことなく悲しそうな声を漏らし )んぐっ…美味そうだったから食った？( 頬を素直に挟まれたまま、疑問形で答えて )

そうなの？えー、まじかあこの歳でモテ期くるかな( 好かれることに悪い気はしないと照れたように口角を上げたも、「でも男からすれば君みたいな体のが羨ましいけどねぇ」と無遠慮に相手の腹筋あたりを服上から触れてみて )ん、んん?……まあ、ちょーーーっと、目付きが悪いくらい？( 少し申し訳なさそうに言いつつ、「気にしない気にしない」と吊り気味の目を下げるように柔く指で押し )肉食獣かなこの子は？まあ牙立てないだけマシか。( 少し考えるように間を置くと、口に近い位置に此方からも唇を触れさせ )おかえし。

…おっさんの顔が好みならモテるんじゃねぇ？( 少しの間を置いてからどことなく不満そうに呟くも、腹筋辺りを不意に触れられれば擽ったさが増し「うひゃ」と素っ頓狂な声を上げ )ん、んん。そんなもんかァ( 目尻を押される感覚に眉を下げつつ、渋々認めた様子で呟き )肉食…っ、俺がしたのよりギリギリじゃねぇか( 軽口を返そうとするが、それより先に口に近いところへ触れた唇に息を詰まらせ、不満を訴え )

ふ…何、今の？( 予想外の声が相手から漏れるとニヤつきを抑えられないような声音で問いかけ、今度は腹筋の感触を確かめる為ではない触れ方をし )いやあ、倍返しは大事でしょ。( に、と目を細めて微笑めば「お前も急にしたんだから、お互い様だろ？」と態とらしく添え )

っ…べ、別に何でもね──っひぅ！く、擽ってぇからやめろ！( しまった、と口を塞ぐも遅く、誤魔化そうとするも出来ないままに擽ったい感覚に身体を震わせては頬を赤く染めながら慌てたような口振りで訴え )今の時代の流れに乗ってんの？おっさんのくせに…( さりげなく失礼なことを言いながらも「宣言してからしたなら、許してくれんの？」ふと意地悪く口角をあげ笑えば顔を覗き込み、徐々に近付けていきながら問い )

( 声を荒らげるにも何処か覇気のない訴えに機嫌よく服下へと冷たい指先を忍ばせていき )おじさんだからこそ乗らなきゃ。若い子に置いてかれちゃうし？( 意地の悪い笑みに対して此方も相応の笑みを返すと此方からも距離を縮め、今度は口へと唇を軽く押し当ててみせ )やろうとしてたみたいだから、先にやっちった。

ちょ…おっさ、…ひゃわっ！…つ、冷てぇって…！( なんだか嫌な予感がと止めようとするも、服下に忍び込んだ指先が肌に触れた瞬間、びくっと身体を震わせると擽ったいのもそうだが冷たさを実感しては真っ赤な顔のまま訴え )流行に乗るのに必死──っ！おっさん、なんつーか、負けず嫌い？( 呆れたような様子で訴えようとするよりも先に、唇が触れ合えば一瞬固まり。然しすぐに我に返ると不満そうな様子で呟いたかと思えば、相手の肩に手を添えて身を乗り出すようにゆっくりと唇を重ね合わせ )

悪いなァ。おじさん冷え性だから( 指先を温めるように相手の肌上で滑らせ、「いい体してるねえ、ほんと」と堪能するように触れながら呟き )ははは、そうかもなぁ…年甲斐もなく、挑発に乗っちまった( 重ねられた感触にピクリと反応するも大人しく受け入れ、心地いい相手の体温を求めるように先程から触れていた腹筋から腰へと手を移動させ、柔く抱きしめるように身を寄せる )あったかいねぇ、凩くん。照れて体温上がったんじゃない？

わ、かってんなら…やめろって( あまりの擽ったさに零れ落ちてしまいそうな声を抑えたいかのように口元に手を添えながら不満そうに訴え )うわ…っ、照れてねぇ。おっさんの方こそ、ちょっと熱くなってんじゃねぇの？( 腹筋へと触れていた手が腰へと移動すれば自然と身を寄せる形になり、相手の肩へと手を添えていたが自分ばかりが狼狽えるのは腹立たしいとでも思ったのか、顔を上げ挑発的に問いながらふと目に付いた髭へと指先で優しく触れて )

可愛い子はいじめたくなるって心理、君なら分かるだろ？( ギャップというのはこういう物かと再確認すれば「君みたいなのがモテるんだよなぁ」としみじみ零して )ああ、最初よりかは大分あったまったよ。どーもね。( 髭を触れやすいように顔を少し上げれば何処と無く反抗的に言葉を返し、相手の手に擦り寄るよう顔を傾けると、その際に唇へ触れた指先へ態とらしく音を立てて口付けをし )こんなおじさんにベタベタ触れられんの、嫌じゃないの？

俺を可愛いってか？そんなん言うおっさん初めてみたぜ( 何をしみじみしている、と言いたげに緩く相手の頬を小突きながら呆れた声を漏らし )っ、く…！( 何だか先程から言葉で勝てていない気がすると不満そうにしていたが、指先へと落とされた口付けにピクッと肩を揺らしはするものの続く言葉にキョトンとした顔を見せては素直な気持ちを零しながらゆるゆると親指で相手の唇をなぞり )嫌だったらキスなんかしてねぇっての…

見た目は俺より男らしいけどな。なんて言うか、反応が良い。( セクハラのようではあるも率直な感想を述べたも束の間、小突かれてしまえば「あいた」と反射的に声を零し )お、今デレた？随分可愛いこと言ってくれるじゃない( 異性と比べれば薄く、潤いもほとんど無いような唇を撫でられると嬉しそうに目を細めて無骨な指で口つけた相手の手を絡め取り )じゃあ好きなわけだ。

うるせぇ…たまたま擽ったかっただけだ( ぐ、と息を詰まらせ、脇やら腹部付近が弱いのが今バレただけだと強がっているようで不満そうに口を尖らせ )
常にデレてるつもりだが？( 手が絡む感覚に目を細め、不服だと訴えかけながら緩く指先を絡ませ握り締めながら身を乗り出すように相手との距離を詰めては、首筋へと顔を寄せて )おっさんは？

鍛えてるとその分敏感にでもなるのかね。( ぺた、と相手の逞しい胸板を空いてる方の手で許可なく不意に触ると「おお、すげえ。胸がある。」と自身と比較すれば厚みのあるそれに感嘆の声を漏らし )
素直なのはさっきのが初めてでしょうよ。( 隠れてしまった彼の表情がどんなものか分からないが甘えられている様で気分が良く体勢は崩さないままに相手の頭へ頬を寄せ )まだ凩くんのことちゃんとは分かってないけど、好きだよ。こんな薄い言葉じゃ信用出来ないだろうけど。( 隠さずに現状の気持ちを述べれば「俺は言ったんだけどなあ?」と催促するように声を上げて )

っぅ…おっさん、せめて許可取ってからにしろよ…
( 不意打ちで胸板に触れた手に吃驚したように肩を揺らすと、声は何とか抑え込んだっといった様子で文句を口にしつつ「そりゃ、鍛えてるからな」少し落ち着きを取り戻し答えるも鼓動は早鐘を打ち始めており )
ずっと素直に答えてやってんだろ？( 自覚をしているのかクスクスと吐息を漏らすような笑いを零しながら答えながら気持ち良さげに瞼を伏せ )…っ、俺も、好きだ。おっさんのこと、まだ普通の会社員ってことしかわかんねぇけど、でも…好きだよ( 誤魔化したのがバレると息を詰まらせ、伏せていた瞼を開きちらりと視線をあげることで此方に視線が向けられてないことを確認すると何とか自分の気持ちを伝え )

ほお、触っていいかって聞いて欲しいわけだね君は。( 先程自身が言っていたことは棚に上げてそう返すとゆっくりと手のひらを撫でるように滑らせ、「もう少し触っててもいいか？」と意地悪く問い掛け )く、ふふ…照れちまうな？( 互いに感じているだろう気持ちを相手の代わりにと代弁すれば顔を覗き込み )こんな冴えないおっさんって、わかって言ってる？

あ゛？っ！おっさん…意地悪ぃな…、( 疑問を抱き首を傾げたものの、手のひらが動いた感覚にピクリと身体を震わせては、漸く意味を理解しては頬を赤く染めながら恥ずかしそうに呟くと拗ねた様子で口を尖らせるもひとつ頷き )こっち、みんなよ…照れてねェ( 顔を覗き込まれたことで視線が交われば小さく肩を揺らし、否定をするものの続く言葉に瞠目した後すぐに可笑しそうに笑えば )おっさんだから、好きなんだよ。

そんな可愛い顔して言われても、褒められてるようにしか聞こえねェなあ( もしかして褒めてる？と付け加えて茶化すと布上から形を確かめるように手を這わせ、鎖骨あたりまで撫であげると「触ってて欲しい？」と聞き方を変え )目見て言えるじゃねぇの。さっきのも嬉しいけど、こっちのがいいな。( 満足そうに口角を上げ、褒美とでもいうように唇を重ね )そういや、髭はキスの時邪魔か？

褒めてねェ…( 手が這っていく感覚に肩を震わせ息を吐き出すのに合わせて弱々しく呟きを漏らし、鎖骨へと指先が触れたタイミングで視線を上げ「言い方変えんなよ…」聞かれて素直に強請れる性格などしておらず、不貞腐れた様子で訴えて )おっさんも目、見て言えよ…( 唇が触れる度に己の唇に熱が集まるのを感じていたところで、視線を逃さないように見詰め )…思ったより気になんねぇな( 言われて初めて思い出したと言わんばかりの様子で、身を伸ばし唇を重ね合わせてから答え )

あらそう、そりゃ残念。( 震える吐息が耳に入る度に心地好く、素直な要求が出てこない様子すら愛おしいと小さく笑えば擽るように鎖骨の形を撫で、「年下なんだから、おねだりくらい恥ずかしがらずにしてもいいのよ？」と首を傾げて促し )ん、好きだよ。( 唇への感触が伝わると嬉しそうに緩く口角を上げ、要望通りに目を逸らさずに好意をもう一度伝えればじーっと暫く穴が空くほど相手を見つめていたも「…あ、足りない？」などとヘラりと笑いながら続け )髭も悪くないだろ？なんなら凩くんも伸ばしちゃう？( お揃いになっちゃうなあ、なんて呑気な声が嬉しそうに零し )

ん…っ、……触ってくれ、んなら。もうちょい素直におっさんのこと、求められっかも( 擽ったい感覚に思わず漏れそうになる声を抑えましたと言わんばかりの吐息を吐き出し、躊躇いをみせたものの相手の首に腕を回し抱きつくように距離を詰めては耳元で囁くように素直じゃないお強請りをし )おっさんのそういうとこ、尊敬するわ( まさか躊躇いなく言ってもらえるとは思っていなかったようで小さく肩を揺らし、我慢比べのような眼差しに耐えきれず目を伏せては身を乗り出し再び此方から触れ合うだけの口付けを送り )あ、俺、髭伸びねぇ体質なんで( 呑気な声に片手を上げピシャリと言い切ると可笑しかったのかククッと肩を震わせ笑い )

( 不意に返された要求は素直じゃないはずなのに、これ以上ないほど率直な強請り方だと面を食らった様子で少し言葉を詰まらせ、「これ以上何を求められちゃうわけ、俺」と少し調子を乱されたように呟きながら親指を鎖骨上へ滑らせ首筋へと軽く噛みつき )なら見習ってたくさん言わなきゃだろ？( 口付けのお返しは首筋へとつけた噛み痕だと強調するようにその痕を軽く舐め上げ )え?。…まあこんな綺麗な肌してんなら当たり前か。スベスベだよなあ( 眉を悲しげに下げ、落ち込んだように声を漏らすも身体や顔を見て触れていた限りでは確かにその通りかと頷きざるを得なく。「見たかったなあ」なんて未練があるように零しながらするりと顎を擽るように指先を移動させていき )

っん！…噛みやがった…( 恥ずかしくて恥ずかしてどうにかなってしまいそうだと頭を悩ませるも、思考を遮るような指が這う感覚に、息を詰まらせていたが噛まれるとは思っておらず僅かに吐息を漏らすと心底不満そうな表情をするが拒否とまではいかないようで止めろとは言わず )…それは、出来ねぇよ( 噛まれただけでも身体が震えるというのに、痕を強調するかのような刺激が伝われば肩を震わせ、耳まで真っ赤に染まると小さな声で反論を )スベスベって、変態っぽいぞ？おっさ…っ( 悲しげな様子に可哀想とは思わなく寧ろ呆れを含んだ言葉を返している最中に顎を滑った指先に言葉が詰まり「い、ちいち、触り方がやらしいぞ、おっさん」此方の受け止め方次第だとは思うものの、不満そうに訴えてみるが嫌と思っていない自分がいるのも確かで、ふと相手の手を取れば軽く握って )

噛まれるのは嫌か？それとも、初めてか？( 後者だとすれば嬉しいと期待するように問いかけ )引っかからねェなあ。そのまま好き好き言ってくれたって構わないよ？おじさんは。( 揶揄う様に肩を震わせ、相手の紅潮した頬へと口付けを落とすとそのまま同じ色を滲ませた耳にも唇を触れさせ、柔く食むように唇で挟み )いやらしいのは凩くんの方じゃねェの？天邪鬼で、煽るようなことばっかりさ。( 試されているのだとすれば自身はもう脱落でいいと我慢するには酷な程の魅力があることを遠回しに告げ、「自分からキスしようとしたりしといて、こっちから攻めたら困っちゃうなんて…」と恋話でもする乙女の真似のようにわざとらしく言い )まあそういう所、唆られるから好きだけど。

…初めてだ。俺に噛み付こうなんて考えるやつがいねぇからな( 何やら期待されているようなことに気が付けば、躊躇いが生まれるものの渋々と素直に答え )っぅ、…好き、だ…( 頬から耳へと移動した唇から発せられる言葉が直接響く感覚にゾクリとし、戸惑いやら恥ずかしさやらが込み上げてくる中でもぽつりと口にし )は？ん？…っな…( 予想外な言葉に瞠目し、自分に似合わない言葉ばかりが注がれることで疑問を抱くものの、続く言葉で簡単に心が打たれてしまえば言葉という言葉が出てこず取り敢えず止めようと相手の肩へと手を添え距離を置こうと試みつつ耳まで真っ赤に染まったまま訴え )おっさ…飯沼、さん。…あの、まじ…恥ずい、から…それ以上は勘弁してくれ…

初めてが俺ってのは君的にどうかは知らんが、嬉しいもんだ。( 意外にも、快くでは無いものの素直に返された回答にへらりと笑えば褒めるように軽く頭を撫でやる。も、その後に続いたこれまた素直な反応に撫でていた手が止まり、次にはこれでもかとわしゃわしゃと乱雑に撫で乱して )ほんと、心臓に悪いね…君( 耳元で囁くと先程の言葉の威力を証明するために顔を耳元から離して相手に曝す。若干紅潮した肌が相手から確認されたかと分かれば唇を強引に重ね、「あーあ、恥ず…」と悔しそうに呟き )このタイミングで名前まで呼んでくるとか、本当……あー悔しい！めっちゃ悔しい。俺ばっかりがっついてるし。( 大人気ないほど相手を求めている事が悔しいのだと珍しく顔を顰めさせ、少し視線を逸らし )

…っ！？嫌がられたっていうわけじゃねぇけど…でも、おっさんが初めてで…ちゃんと嬉しいって思ってる、から( 軽く頭を撫でられる感覚に先程のような感覚は無いものの擽ったく、尚且つ心地よかったが乱雑に撫でられれば瞠目し、少し躊躇った後にきちんと自分は相手が良いと思っていることを伝えようと、どことなく必死に言葉を紡ぐと自分らしくないと思ったのかバツが悪そうな表情をみせ )？い、…っん…( 少し離れたのを確認するとほんのり赤く染ってる肌を確認でき、不思議そうにもう一度名前を呼ぼうと口を開いたタイミングで先程までとは、違う強引な口付けに息を詰まらせ。然し、続く言葉に心を打たれないはずもなく )飯沼さん、俺も…別に求めてねぇわけじゃねぇよ…あんたに甘えて、たけど…俺も、あんたが欲しいって思ってるから( 緩く相手の服を握り締め少し身を乗り出すように距離を詰めては恥ずかしさがあるものの、本音を何とか言葉を紡いでいけば此方から噛み付くような口付けを送り )

( 嬉しいと返されれば自然と頬の力が緩んでしまう。独り善がりではないのだと確認できると獣のような口付けに驚きながらも応え、舌を絡ませるように相手の咥内へと侵入させれば耳奥で響く水音に体が時折ぴくりと震わせた )ん、は…悪い、我慢出来なかった。( 濡れた唇を舐めとると熱い吐息が零れる。服を握る相手の指を自身の指先へと移させるように絡め取ると首筋へと顔を埋め、唇で食むと吸い付くような音を立てて一つの痕を咲かせ )首、隠すような服着ないとな？

( 自ら口付けをした後に応えるかのように咥内へと侵入してきた舌の感覚は、慣れていなかったわけではないがきちんと好意を抱いた状態での甘い口付けというのは初めてだったということもあり心地よさに酔いしれ )…は、…ん。いい、俺からしたし。( 長かったような短かったような口付けから解放されれば、ゆっくりと瞼を開き。相手の服を縋るように握っていた手が自然と相手の指先と絡み合えば、緩く握り締めたところで首筋に感じた甘い痛みに肩をビクと震わせ。此方が言うよりもさっきに意味を教えられれば耳まで真っ赤に染まり呆れたような声を漏らすも嫌がっている雰囲気はなく緩く頭を傾けることで相手の髪へと口付けをし )わざわざ隠せねえようなとこに付けんなよ…

( 自身よりも少しばかり大きな体躯の相手が、此方の所作ひとつでこんなにも愛らしい反応を示してくれることに年甲斐もなく胸の昂りを感じざるを得なく、ふと感じた頭への感覚に気の抜けた笑みを小さく零し )タートルネックとかいう服、あれでいいじゃん。凩くんが着たらやらしい感じになりそうだけど。( だからこんなところに付けてやったのだと間接的に告げると顔を上げ、「なんなら、おじさんにも同じように困るようなことしたって構わんのだよ？」と自ら襟を少しずらして促してみせるも、「あ、付け方わかる？」などとおちょくるような余計な一言を添え )

やらしー想像すんのは、おっさんだけだろ？( 頭の中がいっぱいいっぱいになって甘く蕩けてどうにかなってしまいそうな雰囲気が、少しだけ和らいだことに安心している自分と、もう少しと望んでいる自分がいて。そんなこと相手にバレたら、からかわれるだけだと何とか心に秘めつつ、ぼんやりタートルネックを着た自分を想像したが、想像力が足りないのか不思議そうな声を漏らし )あ゛？そんくれぇ、できるわ( 安い挑発とわかっていても、乗らずにいられなかったのは少しでも自分と同じくらい戸惑えばいいという気持ちからで、身を乗り出し首筋へと唇を寄せ食み吸い付くと、首筋を辿って鎖骨まで複数個の証を付け始め、時折上目遣いに視線を上げ )

分かってないなァ凩くんは。( 何処か不服気に感じる相手の様子に意地悪く口角を上げると、なんの前触れもなく腰から脇下へかけて柔く撫で上げ、「こんな体にあんなタイトな服着せたらとんでもないでしょうよ」と告げて首をわざとらしく傾げてみせ )ん……、ッあ！？おいおい…こりゃあおじさんもお揃い必至じゃねェかよ( 精々付けられても一つや二つと予想していたにも関わらず、此方の反応を伺うような相手の視線に止める間もなく幾つも付けられてしまうと、先程相手に提案したような服を自分も着なくてはならない結果になってしまったことに口端を引き攣らせ )ていうか、随分手馴れたもんで…ちょっと妬いちゃう。

ん？っぅぁ…っ、じゃ、じゃあ、めちゃくちゃデケェ服着っから…！( 自分の想像力が足りないのだろうかと考えていたところで、不意打ちで身体の線をなぞる指先に思わず声を上げ。折角落ち着いたばかりの熱が帯びるように、耳まで紅く染まると必死といった様子で訴えてみて )っは、…ん。いいじゃねぇか、俺が選んでやっからよ( 複数個付けたことで満足そうに顔を上げては唇をちろりと軽く舐めては何処と無く嬉しそうな口振りで話し、続く言葉にキョトンとした表情をみせるもののすぐに小さく笑えば相手の首元へと両腕を回し抱きつくような体勢になり )飯沼さんの真似。上手くできて良かったわ。

ううん、それはそれで…( どちらに転んだとしても自分にとって相手が魅力的に見えることに変わりないと熟れた林檎のような相手の表情を見るなり目を細め、「ほんと、弱いねェ」と小さく零すとゆっくりと胸の上へ指先を這わせていき )なッ……あーっクソ………拗ね損じゃん…返せ。( やられたと腕の中で悔しそうにぐりぐりと額を相手の首筋に埋めれば無茶を吐き捨て、不貞腐れるようにして痕を付けるわけでもなく無意味に首へと口付けを何度も落として )

…飯沼さんのツボがわかんねぇ( 提案したのにも関わらず良い反応を示さないというわけではないが、少々呆れを含んだ声で呟き、指先が肌を辿っていく感覚に肩を震わせては「もう、わざとだろ…っ」反応せざるを得ない自分に対して恥ずかしく思っているのか、熱は引かないまませめてもの抵抗と言わんばかりに訴え )ふは。やられっぱなしじゃねぇ…っ擽ってぇって！( 相手の様子が嬉しくて可笑しくて声を上げて笑い声を漏らすも、何度となく吐息がかかるとすぐに笑いが引っ込み不満そうに訴えるも、抱きついたまま離れようとはせずにいて )

分かんなくていいよ。勝手に好きになってるだけだ。( 困らせるような事ばかりを言っているのだろう自覚はあるがそれは好き故だと惜しまず伝え、「こういうところも全部好きなんで」と熱そうな相手の頬へと手を移し、羞恥で震えていた声を塞ぐ様に口付けし )なに、そんなこと気にしてたの？( やられっぱなしと言う単語に首を傾げ、必然的に背の高い相手の顔を覗き込むようにして問いかけるとくつくつと喉奥で笑い )やっぱり可愛いなあ君は。肉食っぽいのに、反応が小動物みたいで…あ、いや、これは褒めてんだよ？( つまりは序盤で話していたギャップ萌えというものだと相手の腕の中でうんうんと頷いて )

…不意打ち、ずりぃ…っん( 予想外の言葉はあっという間に身体を硬直させ、言われて嫌なわけでもなければ事前に告げてくれと言いたいわけでもないのだが、せめてもの反抗とでも言えるような言葉を残し。唇を塞がれたことでそれ以上の言葉を紡げず目を伏せれば、此方から啄むように口付けを返し )うるせぇ…( 笑われると予想していたようで不満そうな声を漏らすも、何やら一人納得した姿に呆れたような雰囲気を醸し出し )飯沼さん、まだ名前教えてくんねぇの？( そういえば、と言った様子で一度腕を解き隣へと座り直せば不思議そうに首を傾げて )

っん、くく…お互い様( 反撃があると思っていなかった為ピクリと身体を固まらせたも小さく笑い、拗ねた様な口振りの相手が愛らしく無意識に頭を撫でるように手を乗っけて )あー…名前、ね。いやあ、教えようと思ってたんだけどさあ…凩くんの方から教えて欲しいってせがまれるまで待とうとか思ってたんだよね。( 乞う姿を見たかったと悪質な願望をさらけると「知りたくなった？」と気の抜けた声色で問いかけて )

…ふ、そうだなァ( 頭を撫でるような手は不満なものの嫌な気が起きなくお互い様という言葉に納得したのか楽しそうに笑い )！…騙された気分だ( 緩く首を傾げていたが、意味を理解すれば不満そうに訴え「知りてぇよ。好きな奴のことだからな」ひとつ頷いて素直に伝え「ほら、名前」距離を詰め促せばジト目で見詰めて )

( 人聞きが悪いと言いたげに、意地悪く微笑みかければ縮まった距離を此方からも埋めるように身を寄せ、耳元まで顔を近づけ )たけひと。飯沼岳人っての。( 小さく囁き、顔を少し離すと「タケちゃんとかって呼んでもいーのよ？｣とからかいを含めてにんまりと口角を上げ )…君の名前は教えてくれるのかな？

岳人…かっけぇな( 耳元で脳に響くかのように囁かれるような声に小さく肩を震わせるも、きちんと名前を覚えれば感想を漏らし )タケ？( 相手の言う通りに名を呼ぶのは何だか癪だったので少し悩むような素振りの後に敬称なしで呼んでは様子を伺い )まさき。…凩政樹だ( 名前を隠すわけでもなくゆっくりと名乗れば、名を教えただけだというのに妙にむず痒く恥ずかしさが込み上げてきたようで、ぎゅうと抱き着くと相手の首筋へと顔を埋め )

…そうか？名前褒められるなんてまあないから、おじさん真に受けちゃうよ？( 不意に放たれた言葉に照れた様子で一瞬、きょとりと間を空けると自身の後頭部を乱雑に掻きながらへらへらと笑みを浮かべる。最中、愛らしい反応を見せた相手に面を食らうと顔を隠してしまった相手の頭を宥めるように何度も上から下へ、掌で撫でることを繰り返し )政樹。…良い名前だな。( 相手の耳元へ顔を寄せ、控えめにそう告げると「なんで顔隠すの」などとわざと茶化しを入れ )

本音で言ってるから、素直に受け止めて調子に乗りゃいいだろ？( 少々甘えるような姿勢のまま心底不思議そうな声を出してしまうのは素で言っているからのようで。頭を撫でられる感覚に心地良さを覚えていたのだが、予想を裏切らない茶化しに小さく肩を震わせ。相手の首元へと腕を回し直し、少し身を離すことで顔を見せつつ視線をあげれば )タケさんにからかわれるって思ったから。…っつか、名前名乗んのが、恥ずかしいって初めて思った。（ 片手で頭をガリガリと掻きながら素直に感じたことを呟けば、相手も同じだろうかと視線を上げて ）

んん…参った。ホントに調子に乗る。( 顔を見えるようになった事で見えた愛らしい反応の追撃に二重の意味で調子に乗りそうだと背徳感すら感じ、相手の顔を再び伏せさせないように掬う様に口付けを交わし )恥ずかしかったって…改まって自己紹介ってのが恥ずかしかった？( ニヤつきを隠さず、近い距離のまま問いかけ )

返事が遅くなっちまって、申し訳ねぇ( 頭下げ )年末年始の私生活の忙しさがあって、漸く落ち着いた。まだお相手してくれるなら、相手してもらえると嬉しい( 様子を伺うように視線をあげ )

お久しぶりぃー( 頭わしわしと撫で )あけましておめでとさん。今年もよろしくな。…って言葉で、返事としては良いか？( へらり )こっちも忙しくて大分返事遅かったし…ごめんな。おじさんがルーズなのは知ってると思うから、気の向いた時に反応してくれるだけで十分よ。

久しぶり( 素直に撫で受け )あけましておめでと。ことよろ。ん、充分( 安心したように笑い )いいよ、俺の方が…とかいうのはうざってぇから、とりあえず…タケさん補充させて( 相手の背に腕を回しぎゅうと抱き締めれば、さり気なく首筋へと顔を埋めて )

うわあ、それおじさんも言やぁ良かった。ことよろ。若い感じあったのになぁ。( してやられたと言うように眉を顰め )おお、今年初甘え( 機嫌良く受け止めると相手の髪へ口付けを落とし )やけに素直だけど、そんなにおじさんのこと恋しかったの？

ん？別に若い感じしねえよ？( 何が、と言いたげに首を傾げていたものの意味を理解すれば楽しげに笑い声をあげながら見詰め )仕事忙しくて……恋しかったよ。悪ぃ？（ 常に素直だと言いたげな様子で答えると視線を向けては何か言いたげに、じっと見詰め ）