とある悲恋好き 2020-11-26 23:20:11 |
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……嘗められたもんだな。
(瞳に宿した剣を其の儘に相手から返された答えを咀嚼すれば、軈て自嘲気味にフッと温度の無い笑みを零し視線を落とすと半ば独り言の様に所感を口にして。助けたい、殺されるとは思わなかった、……何れだけ力が無く不幸な存在と思われたのだろう。受け止め様に寄っては上から目線にさえ感じられる。悔しいのは実際に現在の自分が"勝手に憐れむな"と突き放す意欲を失っており尚且つ相手に殺意も抱けていないことで。今更人間振ったって仕方無いのに。そう考えていた処で相手が言を繋いだかと思えば、次に言われたのは"貴方は人間だ"と云う様な台詞であり。本心では自分でもそう信じたくとも、日の光を避け闇に庇われて日々を過ごす内に最早素直には受け止められなくなった其の言い分に、つい反感を持って顔を上げると、相手は身に付けていたブラウスの釦を外し出し。……正直とても驚いた。全く予想外の言動で一瞬明らかに瞳を丸くし、露骨に毒気を抜かれてしまい。
本当の処、相手は首筋を出そうとしたのみで第二釦を外した時点で手を止めたのだが、其処を正しく認識するより先に思わず膝立ちになって相手の両手首を押さえる様に掴めば、真摯に紡がれた言葉も曖昧にしか聞き止められず、少々頬を赤くして「ぬ、脱がなくていいから……っ」と年齢相応か、或いは其れより幼い印象を与えられるくらいの慌てた声音で告げて。……もし自分の境遇が今の様なものでなければ、相手は少し眺めていたくなる程度の美人であり。漂う気品は大人のもの、道で見掛ければちょっと目で追いたくなるだろうし仮に学校に此の様な教師がいれば学生生活がちょっと楽しくなるぐらいの見目だろう。其れが急に目の前で着衣を乱し始めたとあれば、他者を突き放し荒んだ生活ばかり送ってきた自身にとっては稍刺激が過ぎて。其れから相手の両手首を放せば、赤面した顔も其の儘相手から視線を外す様にすっと横を向き、何処かぼそぼそと)
……あ、あんたの気持ちは分かったから、服はちゃんと着ていて…。あの、指先でいい……ちょっと舐めさせてくれると助かる……
(/いいえ、ご希望がなければそれでも大丈夫とお話しした通りです。ご返答をありがとうございました^^)
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