とある悲恋好き 2020-11-26 23:20:11 |
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……そう。ならどうして明るい場所ではなくて、暗いところにいるの?
(視線が重なると月灯り程度では顔の輪郭や薄らとしか認識出来ずに。しかし距離が近いので声はよく聴こえて。身を引く動きや動揺が含んだ荒い口調、彼女に対して良い印象が無いことは明確であり。初対面の見知らぬ女からお節介な発言をされては多感な時期の少年なら迷惑に感じるだろう。弟もいつか反抗期が──なんて外見から弟と年齢が近いであろうと感じてしまうと再び姿を重ねてしまい。其れがお節介の原因でもあるが、痣や傷を見つけてしまい大人として其の儘見て見ぬ振り等彼女の性格から出来る筈も無く。彼の顔面には “虐待” という可能性の証拠が色濃く残っている。虐待という理由付けで “保護” するなら誘拐にはならないだろう。少年と一緒にどうやって帰ろうかという思考を巡らせ、答を導き出すまで目の前にいる少年を見詰めていた。幾ら考えても模範的な解答しか浮かばず、考えるより行動に移すと少年の右手を強く握りしめ自宅アパートへと向って歩き出す。離されても今度は絶対に離さない──この手だけは。例え拒否されても離さずにただひたすら歩く。どんな事を言われても気にしない。弟に言われていると思えば可愛いものだ。夜道を只管歩くと数十分たらずでアパートへ到着する。『 狭いけど、中へどうぞ 』契約している部屋の鍵で解錠、彼を中へと招き入れてはすぐに施錠。アパートは四畳半一間。直ぐに電気をつけると室内には壁一面に本棚が沢山並んでいた。その種類は豊富で児童書から専門書まで一通り揃っている。部屋の真ん中には四角い卓袱台と厚みのある座布団が二枚。取り敢えず座布団へ座るよう優しく声掛けした後、本棚からとある本を探し始め、数分も経たぬ内にとある本を見付ける。少年が持っていた文庫本の著者は好きな作家のひとりであったので、其の作品の中でも彼女が個人的にお気に入りの【 こころ 】というタイトルの文庫本を手渡すと優しく微笑み掛けて)
私もね、夏目漱石は好きな作家の一人なの。あなたが夏目漱石を好きなら他の作品もあるから遠慮なくどうぞ? 自由に読んでくれて構わないから。……それよりもお腹すいていたらなにか作ってくるから、本を読んで待っていてね?
( 弟へ接する様に優しく頭を撫でてから台所へと移動。前掛けエプロン姿になると明日の食事や彼への食事も兼ね夜の内につくっておこうと手際よく準備し、調理が開始されて。食の好みは弟のしか知らず、何を作るか迷っていたが野菜を沢山摂れるライスカレーを作ろうと必要な材料取り出してから野菜を大きめにカットしながら一方的に話し掛けて)
ペースが遅くていつもすみません!
読みやすい等嬉しい御言葉に安心し、これからも頑張ろうと励みになりました。ありがとうございます!絡みにくいなんてとんでもないです。読みやすくて文章の勉強になっている位ですので。夏目漱石は好きな作家でして、それから に興奮してしまい。お気に入りの こころ を登場させました!
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