雑草# 2020-11-23 02:00:15 |
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「 曽良君、こっち見て 」
師匠はそういうと衰えからか遅く、骨が浮き出る細い手で僕の頬を優しく包み込んだ。抱き合ってるからか顔は近く無意識に芭蕉さんから目を反らしてたかもしれない、なんて考えてると思考が読まれたかのように師匠の手で無理やり目を合わせられた。
「 接吻して良い? 」
むすっと顔をしかめる僕を横目に耳元でそう囁かれた。耳が弱いのかなんとも言えない気持ちになり「 勝手に 」と冷たく返事をする。こんなのは日常茶飯事で、僕は何故受け側なのか不思議でならなかった。普段の上下関係で上をとってるのはこの僕。しかし恋人関係となるとやはり僕は下。
多分、どこか遠慮してるところがあるのだろう。女性は兎も角、男と付き合うのは初めてだしましてや師匠だ。話を広げる程どんどんたちが悪くなる。
「 こら、曽良君。それじゃあ接吻出来ないでしょ? 」
考え事をしており相手の話をきちんと聞いていなかった。どうやら接吻したいのにずっと肩に寄ったままで嫌らしい。どこまで我が儘ジジィなんだ。と思いながらも顔を近づけてやった。師匠の顔は自身から誘ったにも関わらず紅潮していく
「 積極的だね、 」
なんて言われると刹那。目の前が暗くなったかと思いきや唇に感触がある。間もない内息が苦しくてはぁっと口を離す。今の僕の顔は最悪だろう。
「 曽良君良い顔 」
んふふっと笑う師匠。
やはり僕は
この人に堕ちている
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