匿名さん 2020-11-18 13:04:59 |
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>Nora
……あ、有難う
(数秒の間はあったものの、彼女からの返答を聞けて安心した。こうして反応を貰うことで、自分は一人ではないという安心感、自分は存在して誰かに認識されているんだ、なんて改めて感じることが出来て。その気持ちをしみじみと味わっていたところ、突然彼女が自分の方へ近付いてきて。何をされるんだ、余りにも説明が無かったため、ぎゅっと目を細めて身体を縮めるが、自身の寝癖を直してくれているのかと理解するとそっと目を開いて。動機は何にせよ、こうして撫でられるのも何年ぶりだろうか。孤児院では殆ど一人で本を読んでいたし、そこに勤める人も自分より幼い孤児の子に掛かりっきりで。勿論外に出てからも優しく扱われることなんてなく、“愛情”なんてものは自分とは無縁であった。ぽかぽかと心がほんのり温かくなるのを感じながら小さな声でお礼を伝えた。
部屋にいてくれ、という言葉に了解の意で頷いて。彼女が他の部屋に入っていった後、ぽつんと一人残された廊下で、先程まで寝癖の付いていた髪にそっと触れる。まだ残っている温もりに表情を緩ませながら、言われた通り、昨日のあの部屋へ足を進め。その途中周りを見渡せば、昨日は見えなかった色々なものが目に入ってくる。己を照らす照明も一つ一つ精巧な作りになっており、よく見ればあちこちに道も分かれ、沢山扉もくっついている。意識しないで歩いていたら直ぐに迷子になってしまいそうで。きょろきょろ落ち着きなく周りに視線を配りながら例の部屋の前へと到着すると、その扉に手を掛けて中へと入り。昨日座った席まで移動すると、スムーズな手付きで椅子を引いてそこへ腰掛け。今のこの状況にかなり適応している、慣れているような気もするが、正直まだ夢のようだ。美味しい食事を食べたことも、豪華なお風呂で綺麗になったことも、ふかふかのベッドで眠ったことも。全てが夢で妄想で__、無意識にそんな風に考えてしまい、その考えを払拭しようと慌てて首を横に振る。もしたとえこれが幸せな夢だとしても、もう少しこのままでいさせてほしい。小さく息を吐き、彼女が来るのを大人しく待った。__それから暫くして、ギィ、と扉の開く音が耳に届き。ゆっくり視線を向けると、そこには彼女のシルエットが。)
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