匿名さん 2020-11-18 13:04:59 |
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>Nora
(彼女に言われた通りの廊下、階段を進み、部屋の真ん前へとやって来た。入り口にはこれまた大きな扉がくっついており、幾ら自分の部屋だと言われても軽々しく入っていけないような雰囲気が醸し出されている…ような気がしないでもない。元から此処に住んでいる彼女なら、なんでこんなものに…と扉を前にして怖じ気づいている自分に疑問を抱くのであろうが、此方は路上暮らしの身、突如こんな環境に放り込まれたら誰だって緊張や戸惑いはするだろう。喩えそれが只の一枚扉であっても。数分間扉を前にして悩んでいたがとうとう覚悟を決め、光沢のある取っ手に両手を掛けると恐る恐るそれを開く。思ったよりも力は要らず、わざわざ両手なんか使わなくても片手で空いてしまうほどの軽さ、開きやすさであった。
ドアの先には暗闇が広がっていた。一歩踏み出して部屋の中に入り、手探りで電気のスイッチを探す。数歩壁を伝いながら足を進めると、コツンと何かが指先に触れる感覚。その形状からスイッチだと理解し、パチンと音を立ててそれを押す。すると瞬時に天井から降ってきた光が部屋いっぱいに広がり、その部屋の全貌が明らかになった。眩しさに一度目を閉じた後、きょろきょろと中を見渡す。壁にはシンプルなカーテンが付いた大きめの窓が二つ、作者不明の美しい風景画に、今も尚チクタクと秒針を動かす壁掛け時計。この屋敷の外観と同じ様に、扉の模様や窓の縁に所々に細かな修飾が施されていたり、単調に見えつつかなり凝った部屋になっている。気になる点といえば、やはり全体的に物が少ないこと、だろうか。電気を付けるために暗闇を歩いても、何か家具にぶつかることはなかった。大きなベッドがぽつんと一つに、クローゼットとビューロー兼テーブル。引き出しを開けてみたが中は空っぽであり。この部屋自体が大きいせいもあって、余計に物足りなさが目立つ。しかし、今の自分にはこれだけで十分。元から余り使われていなかった部屋なのか、来客用なのか、よく目を凝らすと埃なんかも見られるが、普通にしていればそんなことに意識が向かないほど綺麗に整備されていた。
ふと時計に視線を配ると、もう夜も深まってきた時間帯。今日は色々なことがあった、久し振りにこんなに身体を動かしたし、今は消化器官だって大忙しな筈だ。どんな状況でも容赦なく襲い掛かってくる眠気に欠伸で応じれば、持っている着ていた服を机上へ置き部屋の電気を消すと、再び手探りでベッドの方へ移動。暖かそうな毛布に足を入れ、ころんと横になるとそのまま瞳を閉じる。今日1日のことを思い返す暇なくとてつもない眠気がやって来て、寝転んでから数分で眠りに落ちてしまった。)
(/そうだったのですか…!それはお疲れ様で御座いました……!!主様のペースで大丈夫ですので、お気になさらず…っ!)
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