匿名さん 2020-11-18 13:04:59 |
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>Nora
……怖く、ない。少しびっくりした……だけ、
(たとえ血を飲むからと云って、彼女が凶悪かつ恐ろしい存在だとは限らないのだ。自分達が生きるために牛や鳥等を殺.して食事を得るように、彼女が生きるためには血が必要だということ。命を繋げる為に避けることの出来ない犠牲。だから、只“自分とは違う”だけで簡単に怖がってしまうのは__。そんな結論に辿り着き、彼女の質問には“NO”と首を横に振り。
_しかし、本当に怖くないのか、と問われればその解答は嘘になる。血を採って生きる生物なんて、本の中でしか読んだことない。てっきり、創作の世界にしか居ないものだと思っていたため、今こうして目の前にいる彼女、心の奥底ではまだ恐怖心が残っているのかもしれない。けれど、何故こんなにも簡単に“怖くないか”と訊かれてあっさり否定出来たのか。勿論、前述したように“たったそれだけで悪だと決めつけて怖がるのは良くない”という理由もある。また、本来は出会うことの無い筈の種族と、こうして会話が出来ている。その事に対する好奇心もあり。それに_こんな状態の自分を拾ってくれたのだ。“絶対に悪い人ではない”ハッキリとした根拠はないが、そうやって言い切れる自信はあった。
「、お風呂……」
その言葉を聞くのさえ久し振りだろう。彼女の後を付いて足を進め、中に入っていけば脱衣所らしき場所、その奥には大きなお風呂が。孤児院にも風呂はあったが、そこまで大きくは無く綺麗でも無かった。それに比べて彼女から案内された此の部屋。本当に風呂なのか…、と驚きを隠さないでいると、彼女は何処かへ行ってしまった。
要は風呂に入って、この汚れた体を綺麗にしろということなのだろう。何日間も来ていたみすぼらしい服を脱ぐと、筋肉が少なくうっすら骨の浮かび上がる身体が顕になる。脱衣所から浴槽の方へ移動すると、そこにある巨大な鏡が己の姿を写し出す。鏡を見たことで自分の現状を改めて突き付けられた。こうして全身を見ることなんて…こんなに醜い姿をしていたのか、自分で自分に溜息を溢し、蛇口へと手を掛ける。
その蛇口を捻ると、側にある管_からではなく、上から水が降ってきた。雨とは違う温かなその水は、薄汚れた髪を濡らす。何だろうこれは__。単なる水道とは違うらしい。所謂“シャワー”という未知なるものに戸惑いつつ、必死に思考を巡らせ。お風呂に使うもの、関連するもの_だというところまで察した。もう一度蛇口を捻って水滴を出し、油や埃やで汚れた身体、髪を、傍に置かれていた石鹸で洗っていった。薄汚れて灰色に染まっていた髪は綺麗な白髪へと変わり、異臭のした身体からはソープの良い香りが漂う。
一通り身体全体を洗い終え、浴槽へと入る瞬間に、脱衣所とお風呂を繋げる扉を挟んで、彼女の呼び掛けが耳に届いた。了承の返事を返せば、湯が張られたそれに身体を入れていき。雪で冷えきった身体がじわじわと暖められ、長期間の路上生活によって凝り固まった疲れがどっと出ていく感覚。言葉では表しきれない気持ちよさに、きゅっと目を細めた。
お風呂から上がり、脱衣所へと移動すれば、彼女が用意してくれたであろう服が。こんなにも立派な服…、タオルで濡れた身体、髪を拭いて、シャツの袖に腕を通す。そんな調子で一通り着替えを済ませた頃には、如何にも清潔そうな、つい先程までの自分からは全く想像出来ないような姿になっており。タオルや今まで着ていた服を畳んで片手に持ち、彼女がいるであろう、食事をした大広間まで歩いていって)
_お風呂、済んだ……よ、
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