水沢 透 2020-11-14 22:37:24 |
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(談笑しながら歩く同僚たちの一歩後ろをどんよりとした空気で足取り重く着いていく様は華金とは思えず一人無言で歩いていると突然肩を組まれて『なぁに湿気た面してんだ結城!ほら着いたぞ、久々なんだから楽しめ!』わははっとまるで飲んだ後のようなテンションで引き摺られこれで酒が入ったら面倒くさそうだなと据わった目で見つめながらも自分のせいでこの場の空気を壊してはいけないと思い皆で居酒屋へ入店して。4人でテーブルを囲むと取り敢えず生を注文し先導してくれる同僚の傍らで首元のネクタイを緩めるとおしぼりで手を拭いながらメニューを眺め、早々に到着したビールジョッキが目の前に置かれると皆でジョッキを掲げて)
同僚1「よし、じゃあ今年もクリスマス仕事で何の予定もなくぼっちな俺らに、カンパーイ!」
他同僚「うぇーい!」
結城「…かんぱい。」
(悲しい発声と共にジョッキを合わせる皆に少々出遅れてジョッキを合わせれば、彼女はいないが何気にクリスマスの約束をしていることは言えないと心の内に止めておきビールをぐいっと嚥下すればその喉越しにぷはぁっと声を漏らして)
同僚1「そういや結城ぃ、お前いつから水沢と仲良くなったんだ?最近ちょいちょい一緒にいるだろ。何よりもお前を庇ってあんなに荒ぶってんのマジで驚いたわ。」
同僚2「そうそう、どんな嫌がらせにも爽やか笑顔で受け流してた奴がお前の為に声あらげて何事かと思った。」
同僚3「女子社員も昨日の件で話題持ちきりだぞ、キラキラした目で水沢ばっか見て…こんなことでもなけりゃ俺の一人勝ちなのにさー?」
同僚1「あはは!それはねーから!で、実際のとこどーなの?」
(一気に問い詰められると身を固めて何をどう話すべきかと思考回路はフル回転しながらやはり来るべきではなかったかなと思いつつ重い口を開き)
結城「…いやぁ、まぁ…確かに以前よりは話す機会が増えたけど…」
同僚2「なんかそんなもんじゃなくね?女子社員が言ってたぞ、弁当作って貰ってるって。」
結城「そ!それはたまたま、…休憩で弁当食ってんの見て美味そうだなーって言ったらたまに作ってきてくれるようになって、料理が趣味なんだって。だから…」
同僚1「ふーん。アイツも豆だなぁ。」
(本当の経緯を話すのは二人だけの秘密であるバーや関係性をバラしてしまうのが非常に躊躇われどうにかこの嘘で信じて欲しいと必死な思いで言うも3人から一気に問い詰められると威圧が半端なく目を逸らして冷や汗をかきながらビールを勢いよく煽って)
結城「つーかそんなことより木原だろ!アイツのせいで俺がどんだけ焦ったことか!俺の腕と信頼がなけりゃ会社自体の信頼を失ってたぞ!」
同僚3「うわー自画自賛したぞコイツ!」
(とにかく話題を逸らしてしまえば男同士の飲みの席での会話など右から左だろうとわざと怒りを噴出させて捲し立て席での笑いを取ればその後は一切水沢との関係を問い質される事はなく、且つモヤモヤしていた気持ちもその時ばかりは無かったかのように忘れ去られ皆でいい時間まで盛り上がり)
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