真夜中のピエロさん 2020-11-11 21:00:46 |
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>40 姫子
「了解。そんじゃサッサとやりますか」
頭を撫でる手を止め、代わりに納体袋を取り出して広げる。袋の口を開けると慣れた動きでソレの形を整えて担ぎ上げる。柔道から離れて久しいがそれでも休まず鍛えた肉体にとって人一人程度は大した重量では無い。血が服に付着しないように気をつけながら袋に入れていると、ヒメがとんでもない事を口にする
「・・・・却下。そんなモン客に出せるかっての。それに、俺が渾名で迷惑してんのお前も知ってるだろ?」
『通り名』と呼ばれるこの街に住む犯罪者にとって、ある種のステータスでもある名。それがある事はそれすなわち街の裏に生きる有名人な訳だが・・・・それが時折嫌な誤解を生む時もある。自分がその典型例だ。精肉に使う道具で遺体を処理しているのに由来して『肉屋(ブッチャー)』なんて名前が付けられたせいで人肉食をすると思われているのだ。勿論食った事はないし誰かに食わせた事も無い。そういう経緯があるから余計にヒメの提案には乗れなかった。袋に遺体を押し込め、袋を閉じる。
「・・・さて。一旦帰るか。小腹空いてるなら売れ残った点心でも温めてやるよ」
袋を担げばヒメにそう提案する。自分も少しばかり小腹が空いた事もあってか、夜食を用意する旨も伝えようか
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