魔王 2020-11-10 20:05:51 |
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(人気のない校舎に2人の男女、少し離れたところにこっそり女子集団が潜伏している。野暮な事はするなと思う一方で自分も同じようにあの二人の行方が気になって別場所で潜伏している自分に文句を言う資格はない。声が聞き取れる位置に移動してくると壁に背を預け息を潜めて2人の会話を盗み聞く。2人の表情を見ることは出来ないが、壁の向こうから聞こえてきたのは女子生徒の誠意の込められた言葉だった。そのどれもが自分の知らない時間の出来事、自分の知らない世界の出来事、自分の知らない相手の姿だ。彼女の目を通して語られる常磐ソウゴの話に急速に相手が遠ざかっていく感覚を覚える。改めて相手が違う時間を生きていた存在だと思い知らされた気分だ。恋人の返事が聞こえてくる、女子生徒のことを思って優しく紡ぐ言葉は実に相手らしい、相手がこうやって告白を断ると信じていた、何も問題はない。しかし何故か胸の内にしこりのような突っかかるものがあって、じっとして居られなくなってその場から立ち去り元の場所へと戻っていき。一方で想い人への気持ちが成就しなかった女子生徒は、相手の言葉を静かに聞いていた。途中で断られることを察してじわりと涙が目に浮かんだが、真っ直ぐな言葉を最後まで受け止めなければと声を上げるのを耐え続けていた。最後まで返事を聞き終わると「そっか…常磐くん、ちゃんと私の言葉受け止めてくれてありがとう」と礼を言うと耐えきれなくなったのか背中を向けてその場から逃げ出すように去っていき)
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