名無しさん 2020-10-21 17:10:45 |
通報 |
( 開け放たれた扉からエントランスに踏み入り、室内に籠る仄かな温かさにほうと息を吐く。マップ上を支配していた底冷えするような寒さが身体の芯まで染み入っていた為か、末端の感覚は殆どない。工具用手袋を外すと腰から提げたツールバッグへ雑に押し込み、ひと気の無いホールを横切る。無意識のうちに手指を擦り合わせつつ回想、此度のゲームの敗因は一体何であったか。ゲーム開始直後の居場所露見、救助前の駆け引き失敗、更には逃亡経路の誤認。無数の要因が絡み合った結果のサバイバー敗北であることは疑いない。とはいえ、心に引っ掛かっているのは試合の敗因それ自体ではなくその終幕だ。脱落者が二名となった時、行動不能状態に陥った仲間が助けを求めていたことは知っていた。救助可能な状況を作らないことで勝ちを確定させるのがハンターの狙いであり、この時点で自身が標的となる可能性はほぼゼロ。相手とハッチの位置からしても、失血の進行度からしても、治療に向かうのは余りにも無謀。通信機に幾度となく表示された"手を貸して、早く!"という定型文から目を背け、非情と知りつつ地下室への脱出を果たして今に至る。廊下に出ると、未だ閉じられていないカーテンの合間から夕陽が射し込んでいた。自室への歩みを進めつつも、常とは真逆に理論から感情へと振り切れた思考は脳内を巡り続け )
…ああ、そうだよ。発明を実現するためなら、きっと容赦無く仲間を見捨てる。そういう男なんだろうな、私は。
( 失血死と通称される負傷後放置の憂き目に遭った仲間の、あの凍てついた眼差しといったら。救護室に運ばれる間際に視線が交錯したほんの刹那、その瞳はあからさまな失望の色を湛えていた。仲間を信頼すればこその失望であり、相手が己に期待を寄せていたことの証でもある。尤も、その信頼は無に帰すどころか既に侮蔑や諦念へと変じてしまったのだが。これが単なる練習試合でなかったのなら、三人の人命と引き換えに大金を手にしていたことになる。あまりの業の深さに知らず乾いた笑みが零れ、通路の途中で足を止め。理には適っているのだから、口先だけでも己の行動を肯定したかった。科学という名の悪魔に心身を捧げるなら、いっそ不要な人情もかなぐり捨ててしまえたら。そう断ずることが出来ないのは、同じ参加者の一人と結んだ絆があまりにも強すぎた為だろうか。窓辺に歩み寄り、赤々とした西日に片目を眇めて )
( / おはようございます、遅れ馳せながら今週もお疲れ様でございました…!お忙しい中のお返事、並びにお気遣いいただき感謝いたします。近頃ますます冷え込んで参りましたので、墓守君背後様もお身体に気を付けてお過ごし下さいませ。
今後の流れにつきましてご了承いただけた為、此方のトピックにて新たな場面の出だしを投稿させていただきました。あれこれと考えあぐねた結果予想以上に重い描写となってしまいましたが、どのような方針で絡むかは墓守君に一任致します!場面切り替えの描写は未だに慣れていないため、分かり辛い部分等ございましたら申し訳ございません。現状の質問や要望が特に無いようでしたら、此方も一旦失礼致します! )
トピック検索 |