名無しさん 2020-10-21 17:10:45 |
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……いッ、ウ、ぐ……もう、……ッうんざりだ!嫌なんだよ、嫌だ、思い出さなきゃいけないのは……早く薬を飲まないと……畜生、ああもう痛い、痛い!許し、──!
( 溶け出した正気は脂汗としてじっとりと額に滲み、血の気の引いた?を伝う。耐え切れなくなった皮膚がぶつりと音を立てるのも構わず、更に強く唇を噛み締めた。痛い、苦しい、耐えられない。見えない稲妻に中枢神経を切り裂かれながら尚も意識の手綱を握っていられるのは、暈けた視界に彷徨く人影が己に救いを齎す存在であると確信すればこそ。混濁する精神の奔流に翻弄されながら、"彼"に関する記憶を手繰る。彼は、君は私の…果たしてなんだったか。生まれてこの方敬虔な信仰心とは無縁だったが、常人ならざる姿を取った彼は天上に座す神の使いに違いない。この際神でも天使でも、それこそ悪魔だって構うものか!救済への激しい希求から遂に寛恕を乞う寸前、乾いて切れた唇を塞がれた。部屋に谺す患者の声はぱたりと止み、沈黙に見守られる中流し込まれた錠剤を素直に飲み下し )
……?……は、ははは!はは!元通りだ、全部!私も、ロレンツも!だって、天使に、キスされて──何を言ってるんだ?それより……どうにかしてくれよ、頭が割れそうなんだ、痛くて……。
( 体温が離れて尚も呆けた表情を晒して黙り込む。然しそれも束の間、今度は面白くも無いのに笑いが込み上げて止まらない。遂に救われたのだという奇妙な確信が膨らみ、弾けて消えていく。眼前の光景をはっきりと捉えられないのは、生理的に滲んだ涙の所為だろうか。一人騒ぎ立てていた狂人の喧しさは徐々に鳴りを潜め、後に憔悴しきった男が残された。虚ろな瞳を彷徨わせ、覚束ない目線の先にようやく捉えた"太陽"。赤い、美しい西日。この目に映るのが日没なのだとしたら、一体今は何時だろう。分からない。何も考えられないし、考えたくない。頭蓋の内側の駆け巡る痛みから逃れたい一心で、友人の瞳に恒星を重ねて手を伸ばし )
……助けてくれ、アンドルー……。
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