名無しさん 2020-10-21 17:10:45 |
通報 |
そうなると僕の名前が世間に公表されるわけか。クソ、恥ずかしい…あんたならやりかねなくて尚更。凄いな、そんな大掛かりな催しなんて呼ばれた事も参加した事もないぞ。皆の視線の先はあんたとあんたの発明品で、あんたはスピーチをして拍手を浴びて、胴上げまでされて其処ら中が花束だらけになるんだな。まるで祝福そのものだ。おい、ルルルカ!?…ああ、期待してる──生きてその瞬間をきっと迎えてみせる。
( 勝手な願いが届くのならば最初に招待を受けたい。真っ先に祝いの席へと駆け付けたい。拡声器から響く名前を耳にするのは居た堪れないだろう、だが友人の偉業を称える場では老いも若きも等しく在れる。誰もが人類の先駆者を愛し、敬い、喜びに咽び、互いを抱き合う素晴らしい時よ来たれ!その夢を精々一隅に過ぎない荘園如きに潰されてなるものか。胸一杯に広がるビジョンに酔い痴れ自ずと口調にも熱がこもり。ファーストネームで呼ばれたと気付いた時には身体的な距離はゼロに、ハンターの気配は無いにも関わらず騒ぎ出した心臓がばれてしまいやしないかなんて今は考えまい。同じ力をもって腕を背中へ回し、徹夜で染みた独特の匂いに己が香を重ね合わせて双眸を閉じ )
食べもしない内から買い被られるとは思わなかった。でももしかすると成功するかもしれないよな。店を開いたら絶対にやりたい事がある。僕の店はどんな奴も差別したりなんかしない。その格好で来ても喜んで迎えてやる、常連になってくれれば万々歳だ。
( 実現するか否かは問わずに、可能性として留めても誰も責めはしない筈。友人の口車に乗せられているのだと指摘されればそれはそれ、否定もしないし寧ろ笑ってみせよう。彼の左瞼の腫れと己の左頬の傷痕を御覧じろ。外見的要素等というものが人生に何ら支障を来さないと証明するには充分ではないか。賞金の使い道は神殿への旅費だ、信仰を捨て切れはしないけれども、転職するなら其方に費やしてみても良いかもしれない。頬杖つき友人の方に視線を投げ、最優先で店に招き入れるべき相手は既に決まっている事実を知らせ )
発明家じゃなくて人間として…?そうなのか、僕はルカを理解出来ているのか。人間として、ふふっ、ん、んんっ。休むべきなのはそっちだろ、片付けも僕がやる。それくらいしないと気が済まん。
( 思いがけない言葉に瞬きすること数回。発明ありきの友人として接するならば志を応援して然りだと思っていた。今、浮かれているかもしれないという可能性を踏まえて言わせて貰えるならば、世間一般に向けた肩書きよりも更に内側に存在する特別な領域に触れるのを許されたのか。この高揚感は一体全体何と呼ばれるものなのだろう。勝手に緩んだ頬が勘違いから生じた結果ではないのを祈りつつ誤魔化しの咳払い。持ち上げられた盆を追うようにして慌てて異議を唱え、取り返そうと腕を伸ばし )
トピック検索 |