名無しさん 2020-10-21 17:10:45 |
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…ふ、ふふっ、ははは!うん、直に招待状を読み上げるつもりだ。それこそ、街全体に響くくらいの声で!──そうだな、大規模な祝賀会を開きたい。そうすれば皆思えるだろ、あの狂ったゲームへの参加は決して無意味じゃなかったってさ。だから、クレス君……アンドルー。荘園での出来事が若かりし日の思い出になる頃、君に新たな時代を見せてあげよう。他でもない私が!
( 決して高くはない勝率を鑑みずとも、自陣営の参加者全員が生き残れる可能性はほぼ皆無。そんな中、思い描いた祝いの席では全ての仲間と再会を果たせるという奇妙な確信があった。過ぎた絵空事として空虚に響いても構うものか。誰より己を高評する男から湯水と浴びせられた賛嘆に浸り、希望に満ちた未来に耽溺することを許されたい。それが泡沫の夢であることには目を瞑って、せめて今だけは!微かに滲んだ淡い紅が溶け落ちる前に、謝意と親愛を込めて抱擁を送る。視線が無いことを良しとして、期待と興奮に彩られた朗笑を満面に広げ )
いや、それは良策かも知れない。少なくとも、ほんの冗談で終わらせるには惜しい!ここを出たら菓子職人を目指すのも一つの手だと思うぞ、案外コックシャツが似合ったりしてな。
( 相手の意図は作為的に敷かれたレールを外れ、此方の思惑を突き抜けた。これだから友人との会話には飽きが来ないのだ。元より彼には高いポテンシャルを感じていたものの、図らずも新たな分野に可能性を見出してしまったかも知れない。体質から日の下を歩き辛い墓守に夜色の外套がしっくりくるのは言うまでも無いとして、真っ白な制服を纏った想像上のパティシエ姿はなかなか様になって見える。無数の選択肢を包摂する彼の将来に想いを馳せ、茶化すような調子でその道の一つを提案し )
分からなくたっていいんだ。第一、君はもう理解してるんじゃないか?発明家としての私ではなく、ただひとりの人間としてのルカ・バルサーを。──さて、片付けくらいは引き受けよう。朝のゲームで疲れてるだろ、早く部屋に戻って休むといい。付き合わせたのは私だけどな。
( 理論の構築にも実験の反復にも、一個人としての記憶や感情は不要だ。頭では理解しつつ、この極めて個人的なやり取りを慈しまずにいられないのは何故だろう。今なら『地下生活者の手記』を綴った小官吏の主張を容れられるかも知れない、人間は非合理に基づく存在であると。再び開いた口から押し付けるのは一方的な勧め、先刻まで彼の背に回していた手で机上の盆をひょいと持ち上げ )
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