名無しさん 2020-10-21 17:10:45 |
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…と言いつつ、私を止めても無駄だってことは承知してるんだろ?心配するなよ、流石に"二度目"は無い。
( 全てを失った挙句に命を擲つことさえ省みない、理想の実現に生き急ぐ前科者をこうまで思いやってくれるのは友人くらいのものだろう。研究に気遣いは無用であり、時に煩わしいとさえ感じるにも関わらず、彼を突き放すことが出来ないのは何故か。内心の自問に対する答えは見つからず、再び"事故"は起きないという保障も確証も無いまま、一時の気休めにしかならない空虚な言葉を以て返し )
そんなに眠そうに見えるか?これでも取り繕ってるつもりだったんだが。普段は一晩明かしたところでどうってことないんだ、昨夜は根を詰め過ぎたのかも知れないな…。
( 意識が朦朧として尚、この口だけは朗々と物を語る。自身の性質を理解しているが故に、眠気に侵された事実を呆気無く見抜かれたことに失笑。無防備な姿を晒すまいと無意識のうちに気を張っていたが、考えてみればそも気心の知れた相手の前で体裁を整える必要もない。そう判断するや否や、冷えた卓上に突っ伏して )
──おっと?……ありがとう、アンドルー。
( 直後、程よい重みと仄かな温もりに背を覆われた。顔を上げ、外套を脱いだ相手の姿を捉える。棘を持ちながら優しい言葉と、それを裏付ける行為。状況を理解するのに数秒を要したのち、拒絶するでも軽口を叩くでもなく、気の抜けた笑みと共に率直な謝意を述べ。土いじりに親しんでいた記憶は無いものの、微かに香る湿った土の匂いが落ち着く。いそいそと炊事場に消える彼の姿を見送ったが最後、再び机に顔を伏せ、鉛のように重くなった瞼を下ろし )
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