アルバート 2020-10-07 14:22:52 |
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ウ、ウン。ワタシモ、マタネ……
(今までも何度か送っていこうかと尋ね断られたこともあり、断られたまでは「そう?気をつけてね。」と流暢に返事をすることが出来ていた。だがその理由に「女の子」が付けられたのは初めてで、嬉し恥ずかし階段までの手足が既に左右同時に出ている。更にもはや告白に近い言葉に真っ赤になると、あまりのことに言葉を失って何とか絞り出すように状況。先程からのもやは吹きとんだが、破壊力が大きすぎるわ。アルバート君そういうところだぞ。彼が帰ってからもしばらく真っ赤なまま微動だにせず、流石に心配した母に声をかけられるまで突っ立っていた。)
(それから数日後には試験の結果が発表され、あの階級からは2人だけが昇格となった。とはいえデートの日の晩に親方が渓谷に行く日程を口にしてしまった時点で合格は知っていたようなものだったが。プライベート時の父の甘さ加減に不安をおぼえつつ、何はともあれ正式な2人揃っての合格に胸を撫で下ろした。そんなアルバートとはあの爆弾発言以降顔を合わせていない。ギルドに復帰した自分と、半強制的に安静している彼ではそもそも機会が少ないということもあるが、意識して仕事を増やしている節がないとは言えない。……だってどんな顔して会えばいいわけ!?と内心大荒れで依頼に没頭するアイリスの成績は目を見張るものがあり、昇格して一皮剥けた、声をかけ難い迫力があるだのと噂は絶えなかったが、真相はそんな乙女心だったりする。アルバート復帰の日も以前であれば、誰よりも早く聞きつけてはツンデレたっぷりに激励をしに行ったに違いないが、いつまでたっても声をかけられないまま訓練の約束の日がやってきた。)
……アイツのことだから深い意味はなかったんじゃない?
(約束の時間の前にアルバートに依頼が入っているのをギルドの掲示板で確認すると、先に訓練場へ向かい木刀などの準備をしながらポツリ。そう思ってみると実際そうな気がしてきた。彼に好きな相手がいるということこそ勘違いだったようだが、自分を好きなんてこと有り得るわけが無い。きっとあれは親友としてとかだ、そうに違いない!と、かなり決定的な言葉を聞いてもなお、長年拗らせた片想いは完全にアルバートへのそういう意味での信頼をなくしており、たどり着いた結末に避け続けた数日間が嘘のように気持ちが晴れてくる。道のり長いな……。若干悲しい気はしなくもないが、きっとこれから来るであろうアルバートにも、いつも通りの態度で話せるに違いない。つかえていたものがとれてスッキリすると、ライバルとしてのワクワクがもたげてくる、アルバートはどれだけ強くなったのだろうか、どんな手でを使おうか、などとじっとしていられず素振りをしながらアルバートを待って。)
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