てんぷれ /〆

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アルバート  2020-10-07 14:22:52 
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アイリスさん待ちです!

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  • No.52 by アイリス  2020-10-19 16:56:32 



(試合開始の笛をアイリスは関係者スペースから聞いていた、試験場の全てが見渡せる特等席だ。アルバートの試験は激しいと同時に楽しいものだった。共に行った特訓の成果が見えることもアイリスにとっては勿論楽しいが、そもそも街中をパルクールのように走り回るアルバートはギルドの外でも知名度と人気が高い。その気さくな性格も手伝って街中から微笑ましく長年見守られていた彼が、この最後の試験を受けるとなれば、そもそも最初から観客の多くは彼のファンのようなものだ。応援も身内からのような楽しげなものが多く、好意的で笑い声が絶えない。攻撃を受けた時でさえ、叱責ではなく純粋な心配や応援が投げかけられ、盾を投げて飛び上がった時など会場中大興奮だ。敵を切り伏せるだけではない、ギルドへの親近感を沸かせ、依頼をスムーズにこなすため彼の人気はギルドにとって大きな財産になるだろう。モンスターが地面に沈む衝撃音は、街中から愛される冒険者の誕生を派手に彩るようだった。)

そうですか、ありがとうございます。
(あれからアルバートの時ほどとはいかずとも、大いに観客をわかせながら試験は進行した。中にはモンスターに嬲られ精鋭に助けられた受験者もおり、あのモンスターの強さが伊達では無いことが証明される。試験後からずっと医務室前でアルバートの帰りを待っていたが、とうとう自分の番がやってきてしまい試験前に顔を見ることが叶わないまま待機場所へ。アイリスの試験までには医務室を出られるだろうという事だったので、ひとまず安心し試験に集中することが出来た。)

(試験場の真ん中に立ちモンスターの檻を前にして、あの素晴らしい立ち会いを見せてくれたアルバートのライバルに何かを期待した観客のざわつきが煩わしく耳に響く。生まれた時からギルドで育ったアイリスは、街の人々からの信頼がいかにギルドにとって大事か身に染みている。信用のない人間が武器を持つことを人々は良しとしない、良き冒険者は信頼される人物でなくてはならない。誰からも愛されるライバルのようには振る舞えない自分が、勝ち取れる唯一の信頼は"親方の娘"として常に同期の誰よりも優秀であることだ。自分の夢の為ならば、親の威光でもなんでも利用して、今ここでハッキリと観客達に自分が今日の誰よりも、アンタたちが大好きなアルバートよりも優秀であることを見せつけてやる。レイピアを抜いて音を立てて振るうと、檻の中のモンスターのギラギラしたそれと目があった。)
3,2,1……
(タイミングを合わせるように、カウントダウンに合わせて自分でもカウントを呟く。笛の音と同時に檻を開けられたモンスターとアイリスがお互いに向かって突進し距離を詰める。魔法を込めて地面を蹴るアイリスの速度は確かに人間としては逸脱したものであったが、そもそも体躯からして巨大なモンスターにとっては対応できないほどではない。モンスターが頭を振り下ろしてアイリスを噛み砕く、と思われた直前でアイリスが速度を落としたことでモンスターが空を噛み、狙いやすい位置に下げてくれた目をアイリスのレイピアが突き刺した。もしアイリスがただ足を止めただけならばモンスターは気づいたはずだ、それを見越してアイリスは初っ端から魔法を使って全力で走り、フォームはそのままに魔法を切って速度だけを落としタイミングをずらしたのだ。悶絶したモンスターが頭を無茶苦茶に振ったことでレイピアが目から抜けて、体が上空に投げ出される。それがどうした、暴走した魔法で吹き飛ばされて生垣に突っ込む時よりよっぽど威力も方向も予測可能な範疇だ。そのままモンスターの背後に着地すると、姿勢を限りなく低くしてモンスターの足元を一閃。自分より大きい相手と戦う時の戦術は、何度も手合わせしてきたアルバートの十八番だ。案の定背後から足元を切り込まれたモンスターの体が傾いたが、右側を下にして倒れこんだモンスターの左側から切りつけたアイリスの剣はその脚を掠っただけのように見えた。すぐに立ち上がったモンスターにそれ以上の追撃はせず、飛び退いて距離をとる。高度な魔法も、見えなければ一般の観客には伝わらない。脚はかなり早いようだが魔法戦士でありながら魔法も使わず、先程からモンスターがタイミングをミスしたり、たまたま背後に飛ばしてくれたから足元をすくえたり、それも狙いをはずし掠っただけ、幸運なだけで地味な彼女に観客のテンションが下がっていく。)
大型モンスターの命は自重を支える脚であるってね。
(今朝の試験と対照的に野次すら飛び始めた試験場に、左の脚の健から血を吹き出したモンスターが先程とは反対側に倒れ込んだ音が響き、その野次を黙らせる。1回目に倒れた時に自重で右足も痛めただろう、今度はすぐには立ち上がれずにもがくモンスターに助走をつけて近づくと剣を振り上げる、今度は観客でも確実に魔法だとわかるだろうほど遥か遥か高く跳躍するとその首を狙って剣を振り下ろした。
しんと静まり返った会場が、試合終了の笛によって正気を取り戻したかのように大トリに相応しい温度を持って沸く。モンスターと観客に向けて優雅にお辞儀をしてから、今日の誰より早いタイムをたたき出し、軽やかな足取りで試験場を後にした優等生は、観客の目が届かないバックグラウンドに足を踏み入れた瞬間、意識を失って冷たい地面に向かって倒れていった。
アイリスの武器は剣と魔法だけではない、むしろ執拗なまでに情報を調べ対策をねる執念が、力も体力も男に劣る彼女をここまで支えてきた。その彼女にとって敵の正体が判明し、しかも一体のみというこの試験の条件は相性がよく、今日のモンスターの強みや急所は調べ尽くし頭に叩き込んであった。この1週間で更にあの魔法を磨いて判明した弱点に、体力の消費が著しいというものがあった。足の防御とともに爆発を狙った威力で、しかもそれを足で行う集中力を考えれば当然だろう。長期戦に持ち込めば勝ち目はないと判断したアイリスは、考えうる全てのシナリオを作り上げて試験に及んだ。自分の体力と魔法の限界、獲物の距離と速度を判断し噛み付いてくる賢さ、急所である目をどのように狙うか、暴れた時の首の可動域に、足回りの筋肉の位置。このまま倒れても医務室に運ばれ、目を覚まして体力の問題だと分かれば帰してもらえるだろう。でも、この期に及んで気になるのはアルバートとの賭けのことで、医務室に運ばれたら出店は許して貰えないだろうなと地面に叩きつけられるまでぼんやりとそれだけを考えていた。)

(/熱い戦いに長さに気づかないほど一気に読みこんでしまうほど、とっても読みやすかったです。こちらこそ更に長くなってしまい、拙い点も多く申し訳ございません。アイリスはこの後何がなんでも出店に行きたがると思うので、アルバート君に食い意地が張ってると思われそうですね←)

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