アルバート 2020-10-07 14:22:52 |
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え、ま、まさか……!
(楽しそうに声を掛けてくれたアイリスの姿にバッと顔を上げると、まさに危惧していた現実がそこには待っていた。それは、ジャンプというには余りにも緩やかだった。緩く、長く、高く、間違いなく浮いていた。着地に手間取ったりと未だ「完璧」とは言えないのが、寧ろその技能の伸びしろを表しているように思えて。「完璧」にマスターしたらどうなるのか。空中を自在に飛びまわり、三次元での戦いを見せる魔法剣士の姿──その横で地味に剣を振るう自分の姿──考えたくなかった将来のビジョンにガーンとショックを受けてしまい、アイリスのこの姿をもし物陰で見ていたりしたらきっと手と膝をついて落ち込んでいただろう)
す、凄いなアイリス!流石だな…ハハハ……
(しかし眼の前には嬉しそうに自分へその成功を見せてくれるアイリスが居た。そんな彼女の眼の前で、そんなことは出来ない。完全に自信を失ったことを何とか隠そうとしつつ、空元気を振り絞って先程の光景を褒め称える。この発言も確かに本心であるのだがやはり内心ではショックの方が大きく、追い付いたと思っていたら再び引き離されたような、それもかなりの差を付けられた、その思いが頭をもたげており。普段なら俺も負けねえからな!くらい言いそうな所で微妙な愛想笑いを浮かべてしまう。──果たして、将来自分はアイリスの隣で立派に胸を張れているのだろうか。身長だって伸びてはいるが、それも果たして平均以上になるかどうかも分からない。焦りが不安となって心を覆い、なんとも言えない浮かない表情をしてしまっていた。
浮いたアイリスとは対象的に(小声))
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