アルバート 2020-10-07 14:22:52 |
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おお……
(様々な動きを見て、一通り自分もそれを模倣してみる。最初はアイリスのお手本には程遠い普段の間違った振り方がモロに出た動きで、幾度となく指摘を受けて振り直しようやく形になってくれば、徐々に木剣を振るう際の風切り音も違うものになってきて)
なるほど、ここでこう構えれば相手の攻撃を……
(それと同時に型の意図も理解し、実戦での使い方も見つけていく。その様子はまさに乾いたスポンジのようで、アイリスから教わった剣技を、的確な指摘のもと正しく振るえばそれが以下に効果的かということが分かっていく。勿論それはようやく体が人並みの物になったから理解し身に付けれたものであり、今までであれば上手く出来なかったことは確かで。度々指摘を受けつつも、着実に基礎を見につけ成長していって)
──フッ!ハァッ!!
(それから3週間程が経ち、アルバートの特訓は順調に進んでいた。朝にアイリスと共に特訓を行い、昼の任務でその成果を試し、そして夜は基礎の反復……基礎を覚えることで不安定だったアルバートの動きに安定感が生まれ、どんなモンスター相手にも不利なく戦えるようになっていた。しかし、同時に焦りも感じていた。それはアイリスの習得している足で魔法を使うという試みである。もしそれが上手く行けば、殆ど唯一無二と言っていいアイリスのオリジナリティとなるだろう。魔法剣士というだけでも希少であるのに、そこへそれが加わるとなれば、アイリスはより強い個性を得る事ができる。対して、自分が行っているのは基礎、言うなれば誰もがやっていることであり、今までの我流と比べるとその動きは言ってしまえば地味で無個性、堅実ではあるが派手さに欠ける没個性的なものだった。勿論アイリスが今ああやって新たなことへ挑戦出来ているのはその基礎あってのことというのは理解している。基本を学ぶ自分に対して応用の更に先を目指すライバル、表面的な違いだと分かっては居るものの、どこか置いていかれているような感じがして)
……俺の個性って何なんだろうな…
(無論普通に強い剣士というのもそれはそれで立派なものである。しかし隣で凄いことをやろうとしているライバルが居て、それに触発されないはずはない。どうにか自分もそういう何かになりたいと、先程まで振るっていた木剣を置いて、一人夜の訓練場でボンヤリ考えていた)
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