アルバート 2020-10-07 14:22:52 |
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だから大丈夫だってば!それに怪我してもあなたの責任にはならないから安心して。
(男子宿舎の噂のマドンナは訓練場の生垣に頭から突っ込んでいた。ぷはっと脱出すればすっとんできた訓練場の管理者と問答を始める。
アルバートに訓練場の場所を取っておくように頼まれ快諾したものの、昨晩寝こけた父は耳元で叫んでもひっぱたいても起きなかった。仮にもギルドの親方がこれで大丈夫なのかと不安になるが、これがアイリスやアイリスの母以外であれば2階に侵入者が現れた時点で目を開けるのだから信頼のなせる技なのだろう。潔く(と言うには少々父には身に覚えのない外傷が増えているだろうが)諦めて、正攻法で場所をとるべく、訓練場に人が集まる前の早朝に訓練場を訪れ、これから試験の日まで毎日一定の時間の予約を確保することが出来た。それから約束の時間までまだかなりの時間があったため、昨晩思いついたことを試してみることにしたのだ。)
だから足を硬化魔法で保護しながら、同時に足の裏から魔法を出せたら移動速度が上がるじゃない?何事も最初から無理だと決めつけるのは良くないわ。
(早朝より既に生垣に突っ込むこと複数回、机上の空論というのも烏滸がましい子供が考えるようなアイリスの言い分に、管理者が目を剥く。今までひたすらに優秀で真面目だったアイリスの真剣な顔に一瞬頷きかけるが、そんな魔法の微調整ができた人間の話は聞いたことがない、しかもそれをコンマ何秒といった世界でやれるものか。親方の娘の身を案ずる論法では駄目だと悟り「誰が生垣の手入れすると思ってるんですか!」と戦法を変えても「それなら壁に向かってやるわね。」とどこ吹く風なアイリスに管理者の血圧が上がる。元々血の気の多い者が多い場所であるから、訓練場のちょっとした騒ぎは日常茶飯事だが、その中心にいるのがあの優等生の親方の一人娘となれば野次馬も湧く。そろそろ人も増えてきた訓練場を見回し、身体中に泥や葉っぱ、それから右腕には引き剥がせなかった管理者を引きずって、アルバートを見つけると手を振って。)
アルバート、こっちよ!おはよう!
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