アルバート 2020-10-07 14:22:52 |
通報 |
っ!?……アイリス……
(グイッと引き寄せられ、今まで見たこともない表情、剣幕を向けられる。それに対し、全くの無自覚だった自分は驚いた表情を浮かべつつただただ困惑したように目をまばたきさせるだけで。しかし飛んでくる悲痛な叫びを聞く度に少しずつ、アイリスの抱えていた悩み、そして先程の自分の言葉がどれほど彼女を傷つけたのかを理解していった。
──13の頃。同じ年なのに自分とは違い、既に任務へ出て活躍していたアイリスの姿を思い出す。技も、力も、頭も、何もかも全てが自分より上だった。そして何より優しかった。そんなアイリスがずっと目標であり、憧れであり、理想であった。そんなアイリスをライバルと言えることが誇りだった。だが、自分は全く分かっていなかった、知ろうともしていなかった。アイリスが何を思って、何に悩んで、何に苦しんでいたのか。ずっと、ずっと守りたいと思っていたはずなのに、それなのに)
……ごめん。俺……
(どう声を掛ければ良いのか全く分からない。どうしようも出来ない壁に直面し、もがき苦しむアイリスを、その姿をあざ笑ってしまった自分に何かを言う権利なんてあるのだろうか。昔、自分を救ってくれた人を今、絶望の淵へ立たせてしまっている自分に。グッと奥歯を噛みしめながら、彼女を救えない自分への怒りを覚える。そして少しの後、再び口を開いて)
……本当にごめん、アイリス。知らなかったんだ、アイリスが悩んでたこと、苦しんでること。ずっと一緒だったのに、俺、何も気付けてねえ。しかもそれで傷付けて、アイリスは一番大切な人なのに、俺は!!ぐっ、うぅ……
力も身長も、何もあげられねえけど……俺、もっと強くなるから。強くなって、アイリスの出来なかったことを俺が全部やってみせる。俺がアイリスの夢を全部叶えてみせる。どんなことがあっても、必ず……!
(一番大切な人を傷つけた自分の不甲斐なさ、その人の苦痛、色んな想いが胸を締め付ける。気付いたときには、涙を流しながら、アイリスの体を抱きしめていた。そして、誓う。アイリスの望むものを自分は渡すことが出来ないなら、せめてアイリスの望むものに自分がなってみせる。それが自分に出来るせめてものことだから。少しずつ抱きしめる腕に力が入っていく、アイリスを、大切な人を離さないように)
トピック検索 |