アルバート 2020-10-07 14:22:52 |
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はっ、はあっ……。
(意識を飛ばしたアルバートにフラフラと近づいて頭上にしゃがみ、頭を打っていないかや呼吸を確認してから隣に崩れるように座り込む。今回の勝利は、体力がほんの少しだけ長続きしただけにすぎない、成長期にある彼はすぐに多少の無駄な動きなど響かない程、力も基礎体力も伸びるだろう、勝ったにも関わらず胸の奥に靄が渦巻いて、爪に土が入るのも気にせず訓練場の地面を引っ掻いた。逆の手でアルバートの額に汗で張り付いた前髪を払うと、体育座りをした膝に顔を埋めた。)
あ……そうね、無駄な動きが多いのと……。
ッ……それから、人の下に潜り込もうとするの、癖でしょ。自分より小さい相手には得策じゃないわ。
(隣の起き上がった気配に膝から顔を上げて立ち上がり、地面を叩くアルバートを見下ろしながら砂を払う。確かにアルバートの態度は褒められたことではないが、ライバルの成長を喜べない自身も同じく酷いものだろうと、咎めずにぼんやりと眺める。すぐに切り替えて笑顔を見せるアルバートに気圧され、気づいたことを口に。その時、何故これから力も体力も上背も勝手に伸びる男に手を貸さねばならぬのか、と一瞬横切ったライバルらしくない嫌な感情を振り払うように、相手の真似をして深呼吸をする。そこまで落ちぶれるのは自分が許さないと、意識して勝者らしい笑みを貼り付け、先程の動きをゆっくり再現しながら説明してみせて。)
試験は大きいモンスターが相手だから構わないけれど、一つ一つの動きの意味を意識するって点は意味があると思う。
その点我流じゃない剣術は先人の知恵が詰まってる。正式な剣術の基礎を学ぶなら協力するわよ。
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