アルバート 2020-10-07 14:22:52 |
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ごちそうさまでした。
(まさか鈍感な相手にときめかれる貴重なチャンスを現在進行形で逃しているとは露にも思わず、アルバートに続いて食卓を立つ。デリカシーのない父親はそのまま転がしておいても良かったが、母がその細腕を痛めてしまっては気の毒なので、寝室に放り込んでやろうと雑な仕草で背負いあげる。ただでさえ熊のような筋肉質な体躯が、今は意識を失ってさらに重くアイリスの背中にのしかかった。途中でよろけて家具の角にぶつけた父の腕の痣が、女の自分の冒険者としての未来を否定しているようで、沈む気持ちを振り払いアルバートに追いつくべく小走りで寝室の扉を閉めた。)
そっちこそ!
舐めてると木刀でも意識くらい飛ばせるのよ。
(嫌というほど見慣れた訓練場も、時間帯と人が少ないだけでいつもと違った雰囲気をまとっており気が引き締まる。久しぶりの勝負に気分が高揚しコートを脱いで脇にかけると、不敵な笑みを返してアルバートに対峙する。同じように木剣よりも細身の木刀を構えて挑発にのってやる。先ずは小手調べに硬い地面を蹴って素早く相手に飛び込むと、その喉元を狙って鋭く突きを繰り出し。)
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