△ 2020-09-24 18:42:18 |
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――っつーわけだから退けよ。
(気品溢れる我が主は声を荒らげて怒鳴るなどはしたない真似はしない。その分、眼差しと言の葉に凝縮された怒りは自分に向けられたものでは無いと理解していても、脳とは関係なく本能的に肝が冷える心地がして。まさに蛇に睨まれた何とやら、動かなく…否、動けなくなってしまった彼女を乱雑に振り解こうとして躊躇う。命の危機に怯える姿があまりに哀れで、これ以上の罰は要らないと判断し腕の間からするりとすり抜けるように身を離し。部屋から遠ざかってゆく跫音を背後で聴きながら、今少し部屋に留まり紅い彼女の耳元で「 今度ちゃんと謝っとけよ。このままじゃその…モヤモヤすんだろ、色々とさ。 」余計な世話と分かっているゆえのひそひそ声で耳打ちし、今度は取り繕われた愛想笑いではなく自然な笑みをニカリと向けて「 じゃあな! 」と残し駆け足で主を追い掛け。その背に追い付きおずおずと肩を並べ「 ミラ、……御免な。 」謝りたい事が余りに多過ぎて、普段は天邪鬼な口も今夜ばかりは素直に謝意をぽつり落として)
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