△ 2020-09-24 18:42:18 |
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──ええ、どうも……それじゃあ使用人を待たせているから失礼するわ。
( ペラペラとよく舌の回る主宰の相手はどうも苦手だ、すっかり質の落ちたこの社交界に顔を出す事もこの地を踏む事も無いだろう。空のグラスを側近に返し部屋を後にして階段を降りて行く…が、指示した場所に彼の姿が見当たらない。一番下まで降り辺りを見回すがやはり姿は無く「 レノ?……レノ、何処にいるの? 」吸血鬼が蔓延るこの館で誰かの餌食になってしまったのか。まさかとは思いつつも焦燥を孕んだ声で彼を求めて辺りを彷徨い。──その声はリザとレノの二人が居る部屋にも聞こえてきて。いくら媚を売ろうとも、縋っても、全く靡く事のない彼の瞳は最初は晴天のようにも思えたが、今は氷のようでリザの肝を震え上がらせ。しかし醜いまでの強欲さは彼女の性格のようにしつこくまだ消えておらず、表情を引き攣らせ震えた声で『 ま…待ちなさいよッ!満足するわけないでしょ……アンタの血を吸うまでは! 』逃がすものかと去ろうとする彼の腕を掴みグイッと引っ張って。──聞き馴染みのある女のギャアギャアとした声が、無理矢理開けられたであろう蝶番が壊れて半分開いたままの扉の向こうから聞こえる。レノの姿が見当たらず、ざわ、と落ち着かない心を鎮めるように胸に手を添えつつ訝しげに眉を顰めながら、その扉の部屋を覗き込み )
……何をしているの?
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