△ 2020-09-24 18:42:18 |
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――ミラ?
(表情こそ動かずとも、声の大きさや調子から異変を感じ取る程度の芸当はこなせるようになった、それもこれも誰よりも近くで主の世話をしてきたからだという自負もある。なのに連れてくるべきではなかった、その言葉には使用人としての振る舞いが成っておらず同族たちに嫌味でも言われたのだろうかと邪推すれば、先ほどの彼女の不機嫌な表情にも合点がいって。けれど素直にごめんなも言えず「 ……ああ、解った。気を付けてな、 」なんて場違いにも彼女の身を案じる言葉を心から華奢な背中へ送って階段を上がってゆく姿を見守る。やはり自分はまだまだだったようだ、周りに誰も居ないのを良いことに大きな溜息を吐いて立ったまま壁に凭れ掛かり、腕を組み目を閉じて彼女の帰りを待とう)
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