花喃 2020-09-16 10:09:43 |
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「三蔵たちから夕食を奢って貰えるだなんて…誕生日も悪くありませんね」
(今日は誕生日。三蔵たちから夕食に招待されており、約束の時間まで一人で街を歩いて見て回りながら時間を潰していれば。本屋の前で幼い兄弟が、泣いている弟と困った様子の兄が立ち尽くしており)
「おや?どうしました?」
(話を聞くと弟の誕生日プレゼントを一緒に買いに来たものの小銭が足りず弟の欲しい絵本が買えないと知り、兄に自分の小銭をそっと手渡し)
「これで買えますね、プレゼント」
(笑顔でお礼を言い兄弟仲良く絵本を買い帰り道を駆けていく後ろ姿を見送りながら、ふと自分の姉を思い出していると―悟能―と呼ばれた気がして声のする方に顔を向ければ)
「………どちら様ですか?」
(花喃―と叫びそうになるのを堪え、死んだ筈の姉そっくりの女性がロザリオを握り締めながら自分を見つめている姿に静かに応え)
「………僕の名前は、八戒といいます」
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