菓子好きの語り部 2020-09-14 14:33:54 ID:1662111e6 |
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『…林檎に小麦粉、レモン、塩、砂糖…ん、三温糖か…あとは……』
カフェでデザートを出すから材料を買ってきて欲しいと店主である男に懇願されたのがつい数刻前。新しいメニューを出したいとか何とかで、どうしても食材が足りないのだと泣きつかれたことを思い出し、情けない姿が脳裏に浮かんだところでついつい頬が緩んでしまう。在庫に余裕はあったはずだが、常連客に賄いを振る舞っていることを考えると合点がいく。どうやら、賄いを作りすぎたらしい。本来なら買い物に出かけないはずの日に商店街をぶらついているせいか、顔馴染みの人々に「珍しいな」と声をかけられる。いつもは家事代行を頼んでくる者たちも「今日は頑張るよ」と店主の手伝いを優先してくれと遠慮してくれた。いや、俺への気遣いは?なしですか?
『ほんと、彼奴は愛されてるよな…』
何でパートナーが見つからないのか、との愚痴は飲み込んでおいた。言ってしまったらフラグ的な何かでさらにパートナーが見つからなくなりそうだと思ったのだ。その代わりに盛大に溜息をつき買い物を再開するために商店街をぶらつき始める。
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