匿名さん 2020-09-12 02:26:04 ID:1662111e6 |
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『ねぇねぇ、ガル。アレ出して!アレ!』
「あァ?……ったく、しゃあねぇなァ。ほらよ」
自分よりタッパのある男にお菓子を強請る子どものようにせがまれ、面倒臭そうに返答しつつ軽く口角を緩める男。瞳に薔薇が咲き誇る男の背後には、赤、青、緑、黄、白、紫の6つの薔薇が咲き誇る。燃え盛る炎、潤いを含んだ水、緩やかに流れる風、絶対の硬度を誇る土、優しい輝きを孕んだ光、見る者を落ち着かせる闇に状態が変化する。変化させたところでタッパのあるもやし体型の男が『違うコレじゃない』と駄々をこねるので、先程の透き通った色をした状態に戻すと満足そうに笑みを浮かべる。
『お前……なァ、ベル。それ食って旨いカ?』
『……んむ。んまい』
『そうかァ…』
バリバリと音を立ててただの魔力の塊を食べる堕天使をあやす様に頭をぽんぽんと撫でれば、心地よさそうに目を細めた締まりのない表情が返ってくる。生まれた頃から生きる術を教えて貰えなかった堕天使は魔力の循環がうまくできないため、時折りこうして花を食べにくるのだ。太陽と月の魔力を溜め込んだ男の魔力は、どの食べ物よりも美味しいとは堕天使の男からの証言である。この街の2大問題児が集まっているはずなのだが、何とも締まりのない光景は少しだけお近づきになれるチャンスと思わせてくれるかもしれない。まぁ、堕天使が人の魔力をバリボリ貪って、貪られている側は微笑みを浮かべている奇妙な光景であることは確かなのだが…。
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