小説家 2020-09-10 23:38:09 |
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(相手を送り出すと再び眼鏡を掛けて筆を執り、執筆を再開して。一度原稿に向かうと集中するのにそう時間は掛からず、やがて邸内に漂う焼き魚の香りと手元の暗さにふと気が付いて筆を止めた時には、其れから2時間近くが経過していて。ようやく筆を置きぐぐっと背中を伸ばすも、結局いつも同じ姿勢のまま書き物に没頭してしまうのが肩凝りの原因。先程に増して肩が張っている感覚に苦い表情を浮かべつつ軽く自分の手で解し首を傾けながら、手元の灯りだけですっかり暗くなった部屋の灯りを付けて。以前で有れば此処から更に執筆を続けたであろうものの、相手が来てからは食事について口煩く言われる事もあり多少は以前に比べて健康的な時間感覚を取り戻していて、漂う匂いからして間もなく夕食の時間だろうと思えば原稿を適当に纏めて机の傍に避け、咥えた煙草に火を点けて。)
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