奏歌 翔音 2020-08-14 23:38:38 ID:5762b1903 |
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>凜夏さん、月さん、知佳さん、了さん
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知佳からの叱咤激励に禁忌は思わずハッとしていた。
そう、黄泉に完膚なきまでに敗北したあの時に禁忌が知佳の前で始めて涙を流したあの時。
込み上げる悔しさ、情けなさを噛み締めながらも確かに交わした約束は確かに存在した。
どんな困難も二人で乗り越える、そう言ったのは自分の筈なのに同じ過ちを繰り返す自分自身が情けなくなる。
そんな時、唐突に当たる自分の額と知佳の額。
まるで母親が小さな子供に言い聞かせる様な仕草に戸惑いながら流れる涙を拭きもせずに聞き入っていた。
そして知佳の話を聞き終わると頬を伝う涙を拭き静かに呟いた。
『………そうだな。………確かに………その通りだ。済まない知佳。……知佳にはまた情けない姿を見せてしまったな。』
若干の涙声だが、精一杯の笑みを浮かべる禁忌。
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そんな中、ふと背丈に似合わず禁忌の頭を撫でる月の言葉に禁忌は驚きを隠せなかった。
神童月の言葉、それは彼女の見た目以上に彼女の心の底の強さを体現するかの様な強い意志を感じさせるものだったから。
その強さに意識を取られそうになるが戻っていく彼女の後ろ姿に向けて禁忌はたった一言ポツリと呟いた。
『ありがとう。……『ルナ』……。』
始めて口にする彼女の名前。
それは禁忌が彼女に対して歩み寄ろうとするはじめの一歩となるキッカケだったのかも知れない。
ルナが戻る直前までこちらを気にする様に見ていた彼女も同じ様に部屋に戻っていくのを確認すると禁忌は心の中で礼を言う。
そして二人の背中を見送った禁忌はルナの事を思い返しながら知佳に向き直り言った。
『本当に強いのだな………ルナは。……私なんかより………よっぽど心が強い。………少し………嫉妬してしまいそうだ。』
見た目の年齢以上に風格漂う何かをルナの言葉から感じ取っていた禁忌はありのままの感想を口にしながら苦笑する。
その表情は切なげに部屋に戻っていったルナの背中を見つめていた。
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