奏歌 翔音 2020-08-14 23:38:38 ID:5762b1903 |
|
通報 |
>凜夏さん、月さん、知佳さん、了さん
涙を静かに流し瞼を閉じながら祈っていると聞き慣れない声に意識を戻す。
そこには嘗て知佳と共に居た少女、神童月が居た。
禁忌にとっては一度だけ出会った事のある少女。
だが如月知佳の関係者という密接な繋がりが禁忌の認識を高めていた。
『………済まない。……見苦しい姿を……見せてしまったな。』
そう言いながら頬に流れる涙を拭き取る。
が、それはある意味で間に合わなかったと言えるだろう。
>17341
尻尾と腕で抱き寄せられ、成すがままに抱擁される禁忌。
元々月が来た時点でも取り繕う様に装った平静さである。
最愛の人に抱擁された状態で自身を心配する言葉を聞かされて平静さを取り繕える筈も無かった。
『…………知佳…………済まない……………。………少しだけ………このままで…………っ…っ………うっ……あ…………うあああああああああっ!』
惜しげもなく晒す涙。
苦しみを体現する様なその慟哭は聞いている方も痛々しくなる程に悲痛に満ちていた。
禁忌が知佳に対して涙を流したのはこれで2回目。
だが、今まで涙はおろか自身の弱みすら禄に見せたことのない禁忌からすれば驚きを通り越して余りある事だ。
これも惚れた弱みというやつなのだろうか。
『……私は……っ……どうしようなく……無力だったのだな……。』
涙を流しながらも禁忌は自分の事を心配してくれる知佳と月に事の次第を話し始めた。
自分の分身とも言える妹のユーリの存在。
そのユーリと恋人関係だった女性でニシの組織に所属していた斑鳩刹那が少し前に謎の失踪を遂げ行方不明になってしまった事。
刹那が行方不明になりユーリは自身の身を顧みず懸命に捜索したが手掛かりすら見つけられずに捜索が打ち切りになってしまった事。
そして恋人ともう会えないという非情な現実に………ユーリは心を閉ざしてしまった事。
家族、それも妹がそれほど苦しんでいるのに自分は苦しみを肩代わりしてやる事すら出来ない。
そんな歯痒さと無力感に禁忌は心を痛めていたのだ。
| トピック検索 |